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【無料公開】20代の若者にとってJリーグは魅力的なのか 令和の大学生が考える「就職先としてのJクラブ」<3/3>

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「安定した職」に背を向けて思い描く10年後

──コロナの影響という話がありましたが、2020年から21年はJクラブの経営も非常に大変で、それこそ潰れてしまうリスクもゼロではなかったわけです。リアルな就職先として考えた時、そうしたリスクは気にならなかったのでしょうか?

神戸 正直に言うと、あまり考えていなかったですね。考えてた?

篠崎 多少は。クラブによっては、そういう可能性があるのかなっていうのは、ちょっと考えました。ただし繰り返しになりますが、自分にとってはJクラブに就職することが第一でしたので、それで迷うようなことはありませんでした。

──コロナの影響以前に、最近の20代の就活というと、やっぱり安定志向が強いように感じます。大手企業とか、公務員とか。実際のところ、どうなんでしょうか?

眞道 私の就職先を聞いた時に「えっ?」と反応する人は、私の周りにはけっこういましたね。「好きなことだけやっても暮らしていけないよ」みたいなことも言われました(笑)。ですから、ゼルビアのインターンに来て初めて、本音で就活の話ができる友だちができましたね。

──神戸さんも就活について、周りとちょっと話が合わないと感じることってあります?

神戸 そうですね。ただし、この2年くらいはずっとオンライン授業だったので、大学で友だちと話をする機会が限られていましたし。それでも就職が決まった人の話を聞くと、公務員や銀行員という人のほうが多くて、私みたいなのはレアケースだと思います。

篠崎 僕の周りでも一般企業の営業職とか、あとは消防士や警察官といった公務員が多いです。ただし僕の周りは、プレーヤーとしてずっとサッカーに関わっている人ばかりですので、ゼルビアの就職が決まって羨ましがられることはありました。ゼミでもスポーツビジネス専攻だったので、ネガティブな意見を言われることはなかったです。

──そうした苦労も乗り越えて、来年からいよいよJクラブのスタッフとして新たな人生を歩むわけですけれど、自分自身の10年後を見据えて、どんなことを実現させたいと考えていますか? あくまでも現時点での夢でけっこうです。

神戸 まずはゼルビアのグッズ担当として、なるべく早く一人前になりたいですね。それと10年後のことを考えた時、ひとつのことだけを突き詰めることも大事ですけれど、それ以外にもいろんな引き出しがある人間になっていたいですね。グッズやサッカーだけでなく、もっといろんなことに関心を持って、それを周りに伝えていけるようになっていたいです。

篠崎 僕はゼルビアの運営・広報部に所属することになり、インターン時代もお世話になった岡田さんが直属の上司になります。実は岡田さんは大学サッカー部の先輩でもあります。ですからまずは、岡田さんをロールモデルとして少しでも早く近づけるように頑張りたいです。

 その上で努力を重ねて、10年後には「篠崎がいないとゼルビアが回っていかない」と言われるくらいの存在にはなりたいです。それと僕自身、サッカーからさまざまなものを与えられてきたので、クラブでの仕事を通して町田市民の皆様や子供たちに還元できればと思います。

眞道 パーソナルな部分になってしまうんですけど、私は「一緒に仕事してみたいな」とか「一緒に仕事をしてよかった」と思ってもらえる人間になりたいですね。というのも、ゼルビアの社員さんの中に、そういうパーソナルな魅力を持った人が集まっていると個人的に思っているんですよ。「この人と一緒に仕事をしているから、働くことに意味がある」と思われる人って、どんな仕事でも頼りにされると思うんですよ。

──確かにそうですね。そういうタイプの人って、サッカー業界にも多いと思います。

眞道 それがサッカー界だけではなく、他のスポーツ業界だったり、あるいはスポーツとは関係ない分野だったり、いろんなところからお声がけいただくこともあると思うんです。ですから10年後とは言わず、来年にでも「一緒に仕事がしたい」と思われるような人間になりたいです。

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