宇都宮徹壱ウェブマガジン

【無料公開】FC町田ゼルビアのインターン生に直撃した! 令和の大学生が考える「就職先としてのJクラブ」<1/3>

「ボールに水をかけた」「タオルに水をかけられた」──

 最近のFC町田ゼルビアを巡る言説は、まさにこんな感じだ。当事者にとっては、極めて重要なことなのかもしれない。が、サッカーをめぐる議論が文字通りの「水掛け論」に陥ってしまい、それをPV目当てのメディアが乗っかって炎上に拍車をかけている。少なくとも当WMでは、こうした不毛な論戦とは距離を置くことにしたい。

 今週は町田がテーマ。2年前に掲載した、町田のインターン生へのインタビューを蔵出しして、無料公開とする。取材に応じていただいたのが(写真右から)神戸琴葉さん、篠崎友さん、そして眞道ろこさんである。現在、神戸さんと篠崎さんは町田で、それぞれマーケティング部MD課、広報部広報課に所属。眞道さんはツエーゲン金沢の事業企画部で、MDとホームタウン活動を担当している。

 このインタビューのきっかけとなったのが、 町田の運営・広報部で、インターン管理の責任者でもある岡田敏郎さんから「ウチのクラブで働いているインターン生を取り上げてもらえませんか?」という依頼を受けたのがきっかけだった。中途採用が多いイメージがあるJクラブだが、町田は積極的にインターンを受け入れ、選抜した上で正社員に登用している。

 人材育成に関して、積極的なトライを続けてきたのが、町田というクラブである。そうした一面についても知ってもらいたいと思ったのが、無料公開を思い立った理由のひとつ。そしてもうひとつ、令和の大学生が「就職先としてのJクラブ」をどう見ているかについて、受け入れ側の関係者にも共有したいという思いもあった。

 今回、取材に応じていただいた皆さんは、大学在学中にコロナ禍を経験した世代。加えて「安定志向」とか「内向き」とか言われる彼ら・彼女らの就職観については、大学で講義を持っている私としても気になるところであった。今から2年前、ちょうど就職が決まったばかりの令和の大学生たちの言葉に、さっそく耳を傾けてみたい。(取材日:20221028日@町田市)

写真提供:FC町田ゼルビア

就活と並行しながらJクラブでインターン

──あらためまして皆さん、Jクラブへの就職、おめでとうございます。まずはおひとりずつ、簡単に自己紹介をお願いします。

神戸 法政大学社会学部社会学科の神戸琴葉と申します。出身は神奈川で、インターンではグッズ担当をしています。FC町田ゼルビアでの就職が決まりました。

篠崎 篠崎友です。帝京大学経済学部経営学科スポーツ経営コースで、スポーツビジネスを専攻しています。大学では体育会サッカー部に所属していて、インターンでは運営・広報部に所属しています。就職先は同じくFC町田ゼルビアです。

眞道 神奈川県出身で、日本体育大学のスポーツマネジメント学部スポーツマネジメント学科所属、眞道ろこと申します。FC町田ゼルビアでは、9月までは運営・広報部、10月からはマーケティング部のグッズ担当をしております。私は来年から、ツエーゲン金沢でグッズ担当としてお世話になる予定です。

──皆さん、それぞれやりがいのありそうな職場ですね。まず確認なんですが、皆さんはゼルビアでインターンをしている間も、いろいろ就活をしていたんでしょうか?

神戸 私はがっつり、やっていました。主にエンタメ業界系で、音楽事務所だったりイベント会社だったり、あとは映画の制作会社とかTV局なんかも受けていましたね。

篠崎 僕も大学3年の終わりから一般的な就職活動はしていたんですが、自分が将来何をやりたいのかなと自己分析した時に、やっぱりJクラブのスタッフで働きたいという結論に至りました。それで岡田さんに相談して、大学4年の4月からはクラブスタッフ1本に絞って、ゼルビアだけでなく8月にはヴァンフォーレ甲府さんでの研修にも行かせていただきました。

──他クラブの研修にも行けるって、素晴らしいですね。

眞道 私も町田以外に、7月の半ばに金沢に5日間、9月の半ばに松本山雅FCさんに2週間ほど研修参加させていただきました。篠崎さんと同じで、岡田さんにつないでいただいて他クラブでの研修も経験できました。ちなみに一般企業の就活については、他の大学生と同じようなスケジュールで並行してやっていましたね。

──就活のプロセスって、エントリーシートを企業に送って、筆記試験や何段階かの面接の末に決まるという流れだと思うんですけど、Jクラブの場合はどのように決まるんでしょうか?

神戸 私の場合、今年の3月くらいにマーケティング部の部長さんから「来季にグッズ担当を1人採用したいと考えていて、神戸さんもその候補として考えている」というお話をいただきました。エンタメ業界の就活を続けていたんですが、部長さんからは「そっちの就活が終わってから決めてもらっていいよ」と言っていただきました。最終的に6月末くらいに、私の方から「来年、よろしくお願いします」とお伝えして決まった感じですね。

──最近の就活は4月から5月くらいに決まると思うんですが、篠崎さんはそれくらいのタイミングに町田への就職が決まったんでしょうか?

篠崎 クラブスタッフへの就職に絞ったのが4月だったんですが、決まったのはつい最近ですね。父親には「最初から1本に絞るのもいいけれど、一般企業も受けてみたらいいんじゃないか」と言われましたが、僕が本当にやりたいことを伝えたら応援してくれました。決まった時には母も喜んでくれましたね。なかなか決まらなかったので、けっこう心配していたようでした。

──ツエーゲンに決まった眞道さんは、どういう感じだったんでしょうか?

眞道 金沢での5日間のインターンシップで、自分を売り込む機会があって「ウチで働く気があるなら、面接も兼ねて運営の手伝いに来てくれますか?」というお話をいただいたんです。それが9月の初旬くらいで、半ばくらいには採用が決まりました。

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