あえてヤンマースタジアム長居でホームゲームを行わない理由 「一般社団法人から見た」セレッソ大阪のスポーツ事業<1/3>
9月1日、WEリーグ開幕に先んじて、WEリーグ クラシエカップが開幕した。昨シーズンから参戦したセレッソ大阪ヤンマーレディースは、ヨドコウ桜スタジアムにてINAC神戸レオネッサと対戦。試合は0−2の敗戦で入場者数は1192人だった。
ちなみにWEリーグ初挑戦となった、2023−24シーズンの平均入場者数は2578人で、サンフレッチェ広島レジーナの2907人についで2位。十分に誇れる数字だと思うのだが「まだまだですね。開幕前は3000人を目指していましたから」と語るのが、一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ代表理事の村山勉さんである。
村山さんは1967年生まれで1991年にJFAに入職。2011年からはJリーグに転じ、競技運営部、強化アカデミー、広報部、クラブサポート部、クラブライセンスの部長やマネージャーを歴任している。そして2022年にヤンマーホールディングス株式会社に入社し、今年6月に現職に就任している。
ここで、株式会社セレッソ大阪と一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブの違いを説明しておこう。前者は、セレッソ大阪とセレッソ大阪ヤンマーレディースを運営。これに対して後者は、選手育成部門(ユース・ジュニアユース・ジュニアチーム)を運営するほか、ヨドコウ桜スタジアムの長期指定管理者でもある。クラブ本体の運営企業から、育成組織を公益法人に移行したのは、Jクラブではセレッソが初めてなのだそうだ。
実は村山さんとは、私がフリーランスになった1997年以来のお付き合い。Jリーグ時代には、取材を通していろいろお世話になっていて、拙著『異端のチェアマン』にも登場している。今回は天皇杯取材で大阪を訪れた際、ヤンマー本社にてお話を伺うことができた。ファンやサポーターにもあまり知られていない、「一般社団法人から見た」セレッソ大阪のスポーツ事業について、さっそく村山さんに語っていただこう。(取材日:2024年6月13日@大阪)
■HG(ホームグロウン)を増やしながらJ1上位を目指したい
──今日はよろしくお願いします。ずっと関東暮らしだった村山さんが、大阪に移られて2年半になります。もう慣れましたか?
村山 そうですね。2022年の1月にヤンマーホールディングス株式会社に入社して、スポーツビジネス室プロデュースグループの部長、7月からスポーツビジネス室長を拝命しました。そして今年6月から、一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ代表理事。いずれの仕事も1年のサイクルが回って、ようやくいろんなことがわかる感じだと思います。
──昨日の天皇杯、風間八宏さんのスペトレ(スペシャルトレーニング)の立ち会いでご覧になれなかったそうですね。南葛SCの監督をしながら、今でもセレッソの技術委員長は兼任されているということでしょうか?
村山 兼任です。もちろん、大阪に来ていただく回数は減らさないといけないし、こちらでの仕事もぎゅっと圧縮してもらう必要もあるんですが、基本的に去年まで同じ仕事をお願いしています。昨日は舞洲で午前中の指導者向けの講習会があって、午後はスペトレに立ち会っていました。
──仕事の比率的には、南葛とセレッソ、どっちが多いんでしょうか?
村山 南葛の方がだんぜん多いです。ただしこれまでも、週に5日や6日大阪にいたわけでもはないので。東京と大阪と静岡を行ったり来たりしながら、いろいろ調整していました。今年からは、南葛に関わる時間が増えたという感じですね。
──去年、長居で風間さんにインタビューしたんですよ。あの人の仕事の選び方って「カテゴリーが上」とか「優勝が狙える」とかではなく、どれだけ「面白いか」とか「やりがいがあるか」なんですよね。それが関東リーグ1部の南葛だったわけですけれど、セレッソに関してはどんな魅力があったと、村山さんは考えていますか?
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