宇都宮徹壱ウェブマガジン

「北海道出身で長崎サポではない私がヴィヴィくん推しになった理由」 マスコットに救われた話 あるる(ジェフユナイテッド千葉サポーター)

 月イチ連載の「マスコットに救われた話」。タイトルそのままに、マスコットが大好きな方々に、毎回「マスコットに救われた話」について語っていただく。

 今回ご登場いただくのは、ヴィヴィくん推しのあるるさん。ただしタイトルにもあるとおり、彼女はV・ファーレン長崎ではなく、ジェフユナイテッド千葉のサポーターである。しかも、生まれも育ちも北海道なのに、北海道コンサドーレ札幌にはシンパシーを感じることはなかったそうだ。

 われわれサッカーファンには、応援するクラブと推しマスコットは同じ、という固定観念がある。ゆえに「ヴィヴィくん推しなのに長崎サポじゃないの?」とか「ジェフサポなのに、ジェフィ&ユニティ推しでないのはおかしい!」といった議論になりがちだ。しかしマスコットの世界にも、もっと多様性が認められてよいのではないか。

 果たして北海道出身のあるるさんは、なぜコンサではなくジェフサポとなり、それでいてヴィヴィくん推しとなったのだろうか? さっそく、ご本人に語っていただくことにしよう。(取材日:2024719日=オンラインにて収録)

【編集部より】当連載は随時インタビュイーを募集中。XでのDM、もしくはメールにて、以下の情報をお送りください。

・メールでの件名「マスコットに救われた話」

・お名前(ハンドルネーム可)

・連絡先(メールアドレス、LINEなど)

・お仕事

・推しマスコット

・どのように「救われた」のか(簡単に)

infotetewm@targma.jp までお願いします。

これまで登場したマスコット(ファジ丸、ゼルビー、ドーレくん、ヴァンくん&フォーレちゃん、ヴィヴィくん)以外のマスコット推しの方が採用される可能性が高いです。次回のインタビュイーがまだ見つかっていないので、お気軽にエントリーをお願いします。あなたの「マスコットを愛でる深いワケ」をぜひお聞かせください!

ジェフ市原の厚別開催があった黎明期のJリーグ

 今は夫と千葉で暮らしていますが、出身は北海道の旭川です。夫は正社員で私はパートなんですが、同じ小売業の会社に勤めています。以前は、転勤といっても道内だけでした。それが9年前、夫が全国展開しているグループ企業に転籍したので、浜松、福岡、神戸、岩手、岐阜、そして千葉。やっと、ジェフのホームタウンで暮らせることになりました(笑)。

 Jリーグ開幕の時は学生でした。『キャプテン翼』世代ですので、もともとサッカーが大好き。子供の頃、雪上サッカーでオーバーヘッドキックとかやっていました。それでJリーグが開幕して、どこを応援しようか考えた時に重視したのが「スタンドから応援できること」。コンサがなかった当時、北海道で応援できる唯一のクラブが、ジェフだったんです。

 今では想像つかない話ですけれど、Jリーグ黎明期のジェフって、JR東日本がカバーする東北だけでなく、厚別でも年に1回、ホームゲームを行っていたんですよ(編集部註:1996年まで)。ジェフのサポーターになれば、厚別での試合は応援できる。それが一番の理由でした。当時のお気に入りは、中西永輔。GK以外、すべてのポジションをこなせたのが魅力でした。

 今のチェアマンの野々村(芳和)さんが、(1995年に)入団したのも思い出深いです。「こんなイケメンの選手が来てくれるんだ!」というのが第一印象。それだけに(2000年に)札幌に移籍してしまったのは、ショックでしたね。学生時代は札幌で暮らしていたんですが、だからといってコンサを応援しようとは思わなかった。以降もずっと、ジェフのサポーターです。

動いているジェフィ&ユニティを見たことがない

 札幌でのホームゲームはなくなりましたが、コンサができたことで、厚別か(札幌)ドームでジェフの試合が観られるようになりました。当たり前の話ですが、カテゴリーが違えば対戦はない。最初はJ1での戦いだったんですが、2010年からはJ2での戦いになって、しかも2012年には向こうがJ1に昇格してしまったんですよね。

 結局、その年はジェフが札幌に来ないことになったので、夫と一緒にフクアリまで観に行ったんですよ。それまで、市原臨海や国立でのホームゲームには行っていたんです。でも、フクアリでの観戦は衝撃的でしたよね。蘇我駅を降りると、黄色と緑と赤の旗がたくさん掲げられていて、その下をジェフのユニを着た人たちが楽しそうに歩いている。

「なんじゃ、こりゃー!」って思いましたよ、もちろんいい意味で。ずっと北海道からジェフを応援してきた人間にとって、地元のクラブを応援するとか、試合がある日に地域で盛り上がるとか、そういう経験がほとんどなかったんですよね。ですから夫とは「定年後は千葉で暮らして、みんなと一緒にジェフを応援したいね」って、その頃から話していました。

 ここまでマスコットの話が、ぜんぜん出てこないですよね(笑)。ジェフィ&ユニティは、イラストのイメージが強くて、実物が動いているところを見ていないんですよ。それもあって「マスコットが可愛い!」と感じることもなかった。ドーレくんも、なんだかゴツゴツしていましたし。そんな私の魂に火をつけたのが、縁もゆかりもなかった長崎のヴィヴィくんでした。

作品提供:あるるさん

(残り 1392文字/全文: 3538文字)

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