「新しい収益の確保」のためにクラブが考えていること 3代目社長、小澤修一が重視する「山雅らしさ」<3/3>
■元Jリーグ理事を社外取締役にオファーした理由
──社長就任にあたり、ご自身の中で「こういうクラブ社長がいいな」っていう、具体的なロールモデルとなる人はいますか?
小澤 実はあまり、他のクラブのことを意識して見てはいないんです。やっぱり山雅は山雅なので。数字的なものから「このクラブはすごいな」というのはあるんですけど、それが山雅の現状や地域性に、必ずしもマッチするわけでもないですよね。むしろ自分が向き合うべきは、地域の人たちであり、地域に根ざしたステークホルダーの皆さんだと思っています。
──社長就任の会見の記事を読んだのですが、小澤さんが「山雅の現状はかなり厳しい状況である。ただその中で未来をどう作っていくのかが重要で、新しい山雅を作っていきたい」ということをおっしゃっていました(参照)。「かなり厳しい状況」というのは、具体的にどういったことを念頭に置いての発言だったのでしょうか?
小澤 まず、経営の数字の部分での厳しさはあります。そして、なかなかJ2に復帰できないという成績面での厳しさ。プロスポーツクラブは、経営と成績を同時に追いかけていかなければならないわけですが、ウチの場合は現場にお金をかければすぐに強くなるわけではない。そういうジレンマはありますね。
──全力でやってきた上での結果であって、社長が代わったから経営や成績が好転するという話でもないですからね。それでも、小澤さんには「お世話になったクラブへの恩返し」という目標もあるわけですから、それをストレートに実現できるチャンスを与えられた、という考え方もあったのでは?
小澤 ポジティブに考えれば、そうですよね。周りからは「やりがいのある、チャレンジしがいのある仕事」と言われています。その一方で、自分の能力の限界というものはわかっているつもりです。自分が理想としているのは、周りに助けてもらえるような環境づくり。最終判断は自分が責任を持って下しますが、チームとしていい方向を打ち出していくというのが、僕の考える経営者像です。
──どんな優秀な経営者でもブラインドサイドがあるわけで、そこをカバーできる人材を配置するというのは人事の要諦だと思います。だからこそ、社外取締役に元Jリーグ理事の米田惠美さんが入ったのは納得の人事だったと思います(参照)。これは、どなたがオファーしたのでしょうか?
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