宇都宮徹壱ウェブマガジン

グランパス、ベオグラード、そしてモンテネグロの日本人選手 石川美紀子(フィールドワーカー&フォトグラファー)<2/3>

なぜ言語学の研究者はセルビアとJFLを撮影するのか? 石川美紀子(フィールドワーカー&フォトグラファー)<1/3>

日本語教師としてキャリアを積むためにベオグラードへ

──石川さんは名古屋大学の文学部で日本語学を専攻して、卒業後は大学院も修了しているわけですが、具体的な研究テーマについて門外漢にもわかりやすく教えていただけますか?

石川 この話って、需要あります(苦笑)? 大学院までやってきた研究って、今の活動との直接的なつながりはないんですけど。

──それは私も同様です(笑)。というか、つながってないようで、実はつながっているのでは?

石川 まあ、そうなんですが。私が研究していたのは、日本語の文法構造です。博士論文で書いたテーマは、日本語の命令形について。たとえば「走れ」とか「跳べ」というのは、動きを表す動詞なので命令として成立します。けれども「輝け」とか「死ね」といったものは状態を表す動詞なので、願望であって命令としては成立しない。わかります?

──わかります。非常に興味深い研究だと思いますが、大学を出てからの進路が気になります。

石川 大学院時代から非常勤で、地元の高校で現代文の授業を持ったり、他大学で外国からの留学生に日本語を教えたりしていました。私の学部は中学や高校の先生になる人が多くて、母も教員だったんですけれど、大変そうな姿を見ていて「これは違うな」と。むしろベトナムや中国の内モンゴルからの留学生に日本語を教えるほうに、やりがいを感じるようになりました。この仕事は、今も続けています。

──それにしても、ここまでサッカーやセルビアの話はまったく出てきませんね(笑)。

石川 その頃はまったく興味がなかったんです(笑)。ただ、私の夫が名古屋グランパスのファンで、それで、初めて試合を見たのが2009年でした。ピクシー(ドラガン・ストイコビッチ)が監督をしていた頃ですね。次の年に夫と一緒にベオグラードを旅行したり、ヴァンフォーレ甲府とのアウェイ戦に行ったらピクシーの副官だったボスコ・ジュロヴスキーと知り合ったり。そんなことをしているうちに、次第にセルビアという国にとても親しみが持てるようになったんですね。

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