サンフレッチェ広島スタジアムパーク準備室室長が語る エディオンピースウィング広島の「明確な目的」<3/3>
■観戦ビギナーに寄り添った快適な環境づくり
──ここからはMLSのスタジアムからインスパイアされた部分が、実際の新スタジアムにどう反映されるかについて、信江さんに伺いたいと思います。思いつくままに挙げていただけますか?
信江 観客目線で言えば、まずバックスタンド側を「ゼロタッチ」にしました。観客席をあえて低くしているので、選手目線で試合を楽しむことができます。それと、タッチラインから8メートルのところに、スタンドの最前列を設定しました。スタンドの勾配は、下層階はそれほどきつくありませんが、上層階に上がるほど傾斜角が大きくなっています。初めて観戦に来られた方が「怖い」と感じないギリギリの角度の範囲で、臨場感にあふれた観戦環境を実現しています。
──まさに、コアサポにもビギナーにも優しいスタンドづくりですね。他に、新スタジアムならではの特徴はありますか?
信江 光と映像と音響の演出をしっかりやっていきたいということで、アメリカの「Ross Video」という会社の「Xpression」という演出装置を導入することにしました。オーストラリアの「アデレード・オーバル・スタジアム」が、これに近い装置を導入しているので、こちらの動画が参考になるでしょう。5年前の映像ですから、今度導入するものは、さらにいろんなことができるはずです。
──これだけ派手な演出が見られれば、サッカーにそれほど関心がなかった層でも「TVで見ているのと迫力が違うね」とか「また来たい!」とか思うでしょうね。
信江 新しいお客様を呼び込むためには、試合の観やすさだけでなく、快適さについても考える必要があると思います。ですので、座席もできるだけ余裕があるようにしました。新スタジアムの座席は、前後幅の間隔が85センチで、おそらく国内最大。これならトイレや飲食の買い物でも、周囲に気を遣う必要がないですからね。
──そういう配慮も大切だと思います。それで、視察したアリアンツ・フィールドのように、コンコースにスタグルコーナーがあるわけですね?
信江 そうです。屋台を並べるのではなく、常設のカウンター店舗になっています。ガスや電気などが使える厨房設備を備えていますので、温かくて新鮮なメニューをご提供できます。それと先ほど申し上げたように、コンコースからはどこからでもピッチが見られるように設計しました。さらにコンコースの至るところに、デジタルサイネージを設置します。
──これって、試合の中継映像を流すためでしょうか?
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