WEリーグのウィンターブレイクを当てはめてみると? シリーズ「シーズン移行問題」を考えるヒント<2/3>
今週は、Jリーグファンの間で議論を二分している「シーズン移行問題」について、徹ルポという形でフォーカスすることにしたい。
昨日の積雪地域の当事者からの意見に続いて、今回考えたいのがウインターブレイク(以下、WB)である。日本サッカーで、このWBを採用しているのがWEリーグ。ということで、WE Love 女子サッカーマガジンの主筆を務める、石井和裕さんにお話を伺うことにした。
まずは、今季のWEリーグの大まかな日程を確認しておこう。開幕節は2022年10月22日と23日で、最終節は2023年6月10日。第8節と第9節の間(2023年1月10日から3月3日まで)をWBとしている。ちなみにWEリーグでの積雪地域のクラブは、マイナビ仙台レディース、AC長野パルセイロ・レディース、そしてアルビレックス新潟レディースである。
今季のWEリーグのクラブ数は11なので、全22節の110試合。Jリーグと比べれば、クラブ数も試合数もかなりの開きがあるものの、それでも、もしJリーグが秋春制を導入したとしたら、WEリーグのWBはイメージの補助線となることは間違いないだろう。
ところでWEリーグについては、かねてより疑問に感じているところがあった。それは、春秋制のなでしこリーグと半年ずれる形で、開幕当初から秋春制を採用していることだ。石井さんによれば、これに関して明文化されたものはないが、興味深い証言を得ることができた。こちらについても、皆さんと共有したいと思う。(2023年5月18日、オンラインで取材)
■シーズン移行の議論はなぜ噛み合わないのか?
最近のシーズン移行問題について、個人的に思うのは「みんな感情的になりすぎているな」ということ。実際に起きている現象よりも、気持ちが先行する発言が多いように感じます。あと「僕が考える秋春制」がたくさんあるんだなと。「これだと雪が大変だ」とか「これだと過密日程になる」とか、それぞれが考えるカレンダーがあるから話が噛み合わないんですよね。
もうひとつ違和感を覚えるのが、今回のシーズン以降の話が「ACLが秋春制になったから」というのが前提になっていることです。けれども、そもそもこの話の起点というのは、天皇杯の日程だったというのが僕の認識です。つまり元日の決勝に出場すると、選手の休みがどうしても短くなってしまう。プレーヤーズファーストで考えるならば、選手のオフをきちんと確保しなければならない。その議論の延長線上に、秋春制があったと考えています。
さて、すでにWEリーグは開幕時から秋春制を採用しているわけですが、よく聞かれるんですよね。「なぜ、なでしこリーグとシーズンが逆で始まったんですか?」って。実はその理由について、明文化されたものはないんですよ。WEリーグのしかるべき人たちが口頭で言っているのは聞いたことはあるんですが、その主な理由も微妙に変わっているんです。
初代チェアの岡島喜久子さんがおっしゃっていたのは「ゆくゆくはJリーグをはじめ日本サッカーは秋春制に変わる見込みなので、今から始まるWEリーグが春秋で始めて2~3年で変わるのは大変」という説明がありました。でも、その前には「欧州のシーズンに合わせたほうが、魅力的な選手を呼びやすい」と強調していたんですよね。ただ、実際にそういう選手は来なかったので、その後は聞かれなくなりましたが(苦笑)。
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