アルビレックス新潟の「コールリーダー」が思うこと シリーズ「シーズン移行問題」を考えるヒント<1/3>
今週は、Jリーグファンの間で議論を二分している「シーズン移行問題」について、徹ルポという形でフォーカスすることにしたい。
当WMでは、この問題をいち早く取り上げ、昨年には3人の識者による座談会を行っている(1年後に無料掲載したものはこちら)。今回も3人の方々にご登場いただくが、それぞれの視点と立場から「シーズン移行問題」について語っていただくスタイルを採用することにした。
最初に私の立場を明確にしておくと「消極的賛成」。「賛成」の理由は2つある。まず、Jリーグにおけるフットボールの質的向上が期待できそうなこと。そして、Jリーグが「現状維持」に拘泥することは、すなわち衰退に繋がる可能性が高いこと(このことは、今年出版予定の書籍の執筆中に痛感した)。ならば「消極的」な理由とは何か?
その理由も2つ。この問題が「結論ありき」で進められているように感じられてならないこと。そして、この件に関する大手メディアの報道に、ある種の忖度が透けて見えることである。こちらのコラムでも書いたが、われわれが目にする報道は、Jリーグ側の言い分に沿ったものばかり。逆に降雪地域のクラブからの異議申し立てが、ほとんど見当たらないことには違和感を禁じ得ない。
そんな中、個人メディアができることは何か? 確かに、影響力は微々たるものかもしれない。それでも、忖度なしの企画を立案して、多角的に発信することは可能だ。そこでまずは、降雪地帯のJクラブの代表格である、アルビレックス新潟のサポーターにご登場いただくことにしよう。「BRIGADA F.A.N.S.(ブリガーダファンズ)」の代表である、近藤史貴さん、30歳である。(2023年5月18日、オンラインで取材)
※TOPの写真はEstrella(エストレヤ)さんのこちらのツイートからお借りしました。
■VARが実施されなかった試合で「秋春制」を絡めた理由
生まれは1993年の1月6日。Jリーグが開幕した年ですね。本業は飲食店で、新潟市内でバーとクラブを経営しています。
アルビレックスの試合を初めて観たのが、小学1年の頃。両親に連れられてでした。ビッグスワンができる前のJ2だったから、1999年だと思います。2004年にJ1に上がったときは、すでにゴール裏にいました。コアサポのなった時期は、明確に覚えていなくて、ちょいちょいアウェイにも行っているうちに、気付いたら真ん中にいたって感じですね。
周囲からは「コールリーダー」と言われていますけれど、自分はその言われ方があまり好きではないので「BRIGADA F.A.N.S.代表」と名乗るようにしています。BRIGADAというのは、スペイン語で「旅団」の意味。F.A.N.S.は「la Familia de Albirex Niigata para Siempre(新潟の家族よ永遠に)」の頭文字です。横断幕などの管理とかはウチでやっていて、コアメンバーは30人くらいですね。
シーズン移行の話ですが、確か2017年にも議論の末に凍結されているじゃないですか。僕らからすると「ふわっと出てきて、ふわっと流れて」という感じ。去年、ACLが秋春制になることは、もちろん認識していましたけれど、危機感は薄かったです。「どうせまた、ふわっと流れるんじゃないの?」みたいな感じで。それが4月に半ばくらいに報道された時は「これは本気で推し進めるみたいだから、何かアクション起こしたほうがいい」と考えるようになりました。
最初に横断幕を出したのが4月29日、アウェイのFC東京戦でした。その前日にJリーグから、秋春制にした場合のスケジュールが出ていましたが、それとは関係なく、クラブとやりとりしながら予定通りに出しました。そこに書いたメッセージは2つ。
日本サッカー発展のために切り捨てられるクラブはいくつ?
雪国になにひとつメリットのないシーズン移行に反対 数々のデメリットに対する具体的な解決策を
反応ですか? 新潟のサポーターからはいいリアクションがありました。賛同してくれる人が多かったですね。FC東京側からも反応はありました。「雪国の人たちはそうだよね」というのがある一方で、「世界基準に合わせないと置いていかれる」という意見もありましたね。
世界基準といえば、5月7日のホームでの柏レイソル戦で、VARが間に合わなかったことがあったじゃないですか(参照)。あの時にも横断幕を出しました。
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