宇都宮徹壱ウェブマガジン

一夜限りの復活(?)錦糸町フットボール義勇軍 課題山積のJFLを「喝!性化」@KITEN!<2/3>

一夜限りの復活(?)錦糸町フットボール義勇軍 課題山積のJFLを「喝!性化」@KITEN!<1/3>

なぜプロ・アマ混交の全国リーグが誕生したのか?

マー ここまでの話を受けて、総統、どうですか?

総統 参謀長が「もうJFLはいらない」って言っていたのは、去年の7月だったんですよね。その後のしまねの経営悪化を見ていて「あ、こういうことか」と理解できたんです。JFLが果たすべき役割は2つあると思っていて、経営的に立ち行かなくなったしまねに「君はダメね」と早々に肩をたたくか、あるいは立ち直るためのアクションを起こすか、そのどちらかだと思うんですよ。でも結局は、どちらもできなかったし、やらなかった。

参謀長 僕が「もうJFLはいらない」って言っていたのは、リーグとしての役割以前に、このカテゴリーで続けていくのは、アマチュアクラブにとって厳しいと感じるからです。アマチュアで全国リーグを戦うとなったら、どんなに低く見積もっても3億円の予算が必要になります。その3億円をかき集めて、どんな価値を提供しているのかって話ですよ。

総統 まあ、Hondaくらいの大企業だったら、3億円なんて大した額じゃないでしょうが。

参謀長 今のJFLがスタートしたのは1999年で、2000年代だったらアマチュアの全国リーグでも回せていけたんですよ。けれども2020年代の現代、これだけ経済状態が悪くなっていく中で、何も変えずにリーグを運営していくのは、どう考えても無理がある。そもそもJFLという存在自体、どれだけの意味があるのかって話ですよ。

総統 JFLFを「For」にしちゃえばいいんじゃないの?「あれ、なんかJリーグっぽいな」みたいな。なんか詐欺みたいな話ですが(笑)。

宇都宮 ちょっと古い話になりますけど、旧JFL(ジャパンフットボールリーグ)ってあったじゃないですか。J2がなかった時代に2部の役割を担っていたリーグで、1992年から98年まで7シーズンしか存在しなかった。それでJ2が創設されるとなって「じゃあ、残りのクラブは地域リーグに戻ってください」という話になりかけたんです。そこで猛反対したのが、当時の本田技研と大塚製薬でした。

総統 今のHonda FCと徳島ヴォルティスね。

宇都宮 そうです。その結果、プロ・アマ混交の3部リーグとしてスタートしたわけですが、今度はJリーグに入りたいクラブを引き上げて2014年にJ3ができた。ここからJFLの存在意義というものが、かなり曖昧なものになってしまったように個人的には感じています。ただ、今年からJ3JFLの入れ替えもあるので、J3からいきなり地域リーグに落ちることのない「バッファ」として機能していくのかな、とは思いますが。

総統 参謀長が言ったように、今のJFLができたばかりの頃って、まだまだ企業サッカーも元気な時代だったんです。実際、今よりもたくさんの企業チームが活動していたんですよ。でも、今はどうなっています? 純粋な企業チームって、ミネベアとHonda、あとはソニー仙台とマルヤス岡崎くらいですよね。

宇都宮 あとは、企業が手放して市民クラブになったり、そのまま活動停止になったり。

マー いやぁ、街クラブに全国リーグの行脚はきついよね、そりゃ。

総統 僕は実業団チームって、日本サッカー界にすごく必要だと思うんだけど、Jリーグ原理主義のおかげで「Jでなければサッカーじゃない」みたいな風潮が続いていたじゃないですか。僕の故郷の宮崎県でいえば、昔はホンダロックしかなかったから、最初にJFLに上がった時なんか、1000人とか2000人が来た試合もあったんです。ところがテゲバジャーロができて、さっさとJ3に行ってしまってからは、ミネベアのホーム開幕が300人くらいですよ。

宇都宮 ミネベアはよくぞ、サッカー部を残しましたよね。

マー なんかドラマがあったんじゃない? 大泉洋みたいな人がいたとか()

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