宇都宮徹壱ウェブマガジン

ブリオベッカ浦安が次期クラブ経営者候補を募集 現クラブ代表が考える「求められる人材」とは?

 今週はJFL所属のブリオベッカ浦安特集。谷口和司代表へのインタビュー、そしてクラブの興味深い取り組みを徹ルポでお届けする(後者は無料公開)。

 で、今回の谷口代表のインタビュー。タイトルにもあるように「次期クラブ経営者候補を募集」する内容となっている。実は谷口さんから「後継者になってくれそうな人を探している」という相談を受けていた。ここは「ハーフウェイカテゴリーの業界メディア」と認識されつつある、当WMの出番である。

 今回のインタビューでは、ブリオベッカ浦安というクラブの沿革、クラブ代表に求められる仕事、次期クラブ経営者候補に求められる条件、さらには雇用に関する考え方についても確認している。本稿の最後には、連絡先も記してあるので、興味ある方はぜひ最後までお読みいただきたい。なお本稿は、セグメントのため無料公開としていない。(取材日:2023331日。オンラインにて実施)

なぜ次期クラブ経営者候補を探しているのか?

──谷口さん、今日はよろしくお願いします。本題に入る前に、この機会にお聞きしたかったのが「ブリオベッカ」というクラブ名の由来です。先日、ある同業者に聞かれて、答えられなかったんですよね(苦笑)。

谷口 クラブ名は公募で決めることにしていたんです。120から130くらいの応募があったんですが、ドンピシャのものがなかったので、2つの候補を合体させることにしました。ひとつが「ブリューナク」。ケルト神話に出てくる、一撃必殺の武器です。そうして、もうひとつが浦安の象徴である「ベカ舟」でした。

──ベカ舟って何です?

谷口 埋立地になる前の浦安は、のりの養殖が盛んで、収穫のために使っていた一人乗りの舟がベカ舟だったんです。浦安出身者なら、誰もが知っているので、これをクラブ名に使おうと。ただし「ブリオベカ」だとコールしにくいということで、Cを並べて破裂音にしたほうがいいと僕が提案したんですね。それで「ブリオベッカ浦安」に決まりました。

──長年の謎が解けました(笑)。ここから本題ですが、クラブの名付け親でもある谷口さんが「そろそろ次の経営者を探さなければ」と考えるようになったのは、いつ頃からでしょうか?

谷口 還暦を迎えたあたりですね。私は今年で64歳になります。まだまだ体力的には問題ないと思っていますが、今のうちから後継者を育てていくことをしていかないと、私が倒れてしまってからでは対応できませんから。後継者を作るのは、やはり時間のかかる話ですし。

──私が取材するようなったのは、浦安SCからブリオベッカ浦安にクラブ名が変わった2015年からでした。谷口さんがクラブ代表に就任されたのも、確かそのタイミングでしたよね?

谷口 そうなんですが、ご存じのようにウチはもともとジュニアチームがスタートです。株式会社化したのは2014年ですが、私は息子がジュニアユースにいた13歳の時から運営に関わってきました。その息子も今年で30歳ですから、もう17年になるわけですよね。

──良くも悪くも「ブリオベッカ浦安の経営=谷口和司」となっているような感じですよね。

谷口 まだまだやれるといっても、これまで通りのやり方に変化をつけていかなければならないと思っています。このクラブが本気でJリーグを目指すのであれば、新しい風を起こせる人材が必要になります。実際、現時点で何かに困っているわけではないですが、大胆なことを始めようとする発想力が欠けているのも事実です。そんな理由もあって「そろそろ次期クラブ経営者候補を探さなければ」と考えるようになりました。

あらためて、ブリオベッカ浦安とはどんなクラブか?

──ブリオベッカの場合、クラブ代表にはどのような仕事が求められるのでしょうか?

谷口 まず大きな役割として、クラブのビジョンや将来の方向性を定めていって、クラブ内で議論しながら周知していくこと。次に、運営資金を増やしていくという重要な役割もあります。

──現場への関与についてはいかがでしょう?

谷口 ブリオベッカの場合、トップチームと育成とに分かれていて、前者については監督の都並敏史に任せてあります。私のほうでは、選手がサッカーを続けていく上での仕事に関して、しっかり向き合うようにしていきます。

──では、後者の育成については?

谷口 育成については、高校生以下が600名ほどいて、それぞれのカテゴリーで指導者を抱えています。子供たちが安心してサッカーを楽しめる環境作りだけでなく、保護者に納得いただけるような指導をしていく必要があります。当然、指導者の雇用を守ること、それから指導者の採用から評価に至るまで、クラブ代表の仕事となります。

──多くのJを目指すクラブは、まずトップチームがあって、それから育成組織を構築していくケースが圧倒的に多いですが、ブリオベッカの場合はまったく逆なんですよね。これこそが、本来あるべき姿だと思いますが。

谷口 クラブの歴史を紐解くと、まず浦安にジュニアのチームがあって、子供たちの成長に合わせてジュニアユースやユースができて、最後にトップチームができた。そうやって発展してきたクラブですから、ジュニアを一流のアスリートに育てていくという、大きな目標があります。子供の目標を持たせるという意味で、トップチームがJFLよりもさらに上のJリーグに所属しているのが、より望ましいと考えています。

──もちろん、ジュニアの子供たち全員がトップレベルのアスリートになれるわけではないですが、目指す対象が身近にあるというのは大切ですよね?

谷口 浦安の特徴として、ビジネスパーソンの家庭が非常に多く、教育熱心という傾向があります。ですから、必ずしもプロサッカー選手にならなくても、サッカーから得られた学びを通して、一流の社会人として活躍してもらいたい。その中から、スポンサーやボランティアとして、再びブリオベッカに関わってくれるようになってくれれば理想的ですよね。われわれは地域の活動を通して、そうしたファミリーをどんどん作っていきたいと思っています。

ブリオベッカ浦安が求める人材とは?

──ここから具体的な条件について伺いたいと思います。まず年齢ですが、どのようなイメージをお持ちですか?

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