夢の対談!「クラブ経営の大先輩」と「SNSの申し子」 左伴繁雄(カターレ富山)×えとみほ(南葛SC)<2/2>
<2/2>目次
*SNSよりも選手と触れあうほうが効果的?
*67歳のクラブ社長のツイートが刺さる理由
*富山と南葛、それぞれの2023年の位置付け
■SNSよりも選手と触れあうほうが効果的?
──カテゴリと地域の違いについて、もう少し深堀りしたいと思います。まず富山ですが、先ほど「郷土愛」をキーワードにしたパートナー営業をされていたのが印象的でした。クラブのブランディングということに関しては、他にどんなことを意識されているのでしょうか?
左伴 やっぱり地元の方々から支持されるような、サッカーのスタイルですかね。歴代の監督を振り返ると、岸野靖之に安達亮に石﨑信弘。監督の顔ぶれが変わるたびに、やっているサッカーもハードワークだったり、ポゼッションだったりコロコロ変わる。そうではなく、富山の人たちのハートを掴むようなサッカーを目指していくべきだと思うんです。
実は富山って、けっこう辛い歴史を歩んできているんです。江戸時代は加賀藩の支配下にあったし、第二次世界大戦ではひどい空襲を受けているんですね。復興のために、みんなが苦労して頑張ってきた。だからサッカーについても、J1やJ2から降りてきたような選手が、富山に来てハードワークしてくれたら、見ている方も溜飲が下がると思うんですよ。
──左伴さんご自身、クラブは変わっても一貫して選手にハードワークを求めてきましたね。
左伴 僕自身、陸上部出身でしたし、ハードワークはプロアスリートのベースだと思っています。マリノスの社長時代から「1対1では負けるな」「球際で腰が引けたら駄目」「90分間絶対に諦めるな」「最後まで走りきれ」ということを言い続けてきました。もちろん富山も同じで、見てくれは悪いんだけど、けっこう形になりつつあるという実感はあります。それをトップチームだけでなく、育成も含めて一気通貫でやっていこうというのが今の段階ですね。
──やっぱり、地域に根ざしたブランディングや発信って重要ですよね。南葛の場合、東京23区の中でも下町に位置しているわけですが、意識していることはありますでしょうか。
えとみほ まさに「下町パートナー」という枠を設けています。うちは社員選手が20人くらいいて、選手兼営業をやっているんですけど、彼らが定期的に下町の商店街とか町工場に営業をかけているんです。あとは「クリーンプロジェクト」というゴミ拾いも定期的にやっていて、そういったタッチポイントを増やしていくことは意識しています。
私自身はデジタルを得意としているんですけど、SNSで1万人にバズるよりも、選手が握手したりサインしたりするほうが、試合を観に来てくれる可能性は絶対に高いんですよ。そういう意味では、アナログのタッチポイントにデジタルは敵わないですよね。もちろんSNSでの発信も重要ですけれど、デジタルだけで人を連れてくるのは難しいというのが私の結論です。
左伴 えとみほさんが栃木SCの時に、サポーターに向けて「お茶会やりませんか?」って呼びかけていたじゃないですか。つまりデジタルで呼びかけて、アナログでお茶しながら語り合うという。コロナが収まったら、ウチでも絶対にやりたいと思っていたんだよね。
えとみほ ありがとうございます。クラブ経営者の意図をちゃんとわかってくれる理解者が50人くらいいれば、その人たちが伝道師になってくれるんですよね。そういうアンバサダー的な存在を作って関係を強化していくというのも、ひとつのやり方かなって思っています。
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