宇都宮徹壱ウェブマガジン

緻密な計画性が全否定されたPK戦の無作為 森保体制の「感動」と「結果」を腑分けする

 12月4日の夜、カタールから戻ってきた。

 実は帰国直後から咳が続き、声がガラガラの状態で5日の「#聴くWMに出演。長束恭行さんを迎えての、クロアチア戦に向けたトークセッションは好評だったものの、喉の不調はその後も収まらない。健康だけが取り柄の人間ゆえ、翌日にかかりつけの医院に行ったら案の定、流行り病の陽性反応が出てしまった。

 幸い発熱や息苦しさや倦怠感もないので、このまま自宅療養を続ければ来週には社会復帰できそうだ。帰国後は家族以外、誰とも会っていないし、当面の取材もオンラインばかり。さらに幸運だったのは、帰国後での発症だったことだ。カタールでの取材中に陽性となっていたら、多方面にご迷惑をかけていたおそれがあり、自分自身も相当に落ち込んでいたことだろう。その意味でも、早々に帰国して正解だった。

【仕事関係の皆様へ】そんなわけで当面の間、自宅療養につき、不要不急の外出は禁止となります(すでにセッティングされているオンラインでの取材は予定どおり)。療養解除は12月13日となります。それまでご不便をおかけしますが、何卒ご容赦のほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、本題。12月5日、ワールドカップ・ラウンド16の日本vsクロアチアは、自宅にてTV観戦していた。PK戦の末に日本が敗れた試合については、すでに膨大な数の報道がなされている。私自身は現場にいなかったが、やはり取材者のはしくれとして、森保体制を総括する必要性を感じていた。スポーツナビでの連載は終わったので、当WMにて書き残すこととする。

 まず、森保一監督とスタッフ、そして選手の皆さんには、あらためて「お疲れさまでした」と申し上げたい。

 日本代表のメンバー26名が発表されたのが11月1日。その9日後の10日に、日本代表の国内組がドーハ入りしている。途中、17日にドバイでのカナダ戦を挟んで、ずっと現地でトレーニングと試合を繰り返してきた。その間、実に4週間。それだけの長丁場、代わり映えのない環境でギリギリまでフットボール向き合い続けるのは、(いくらプロだからといって)並大抵のストレスではなかったはずだ。

 加えて今大会は(もはやニュースにもならなくなったが)感染対策にも神経をつかう必要があったし、大会が始まってからのプレッシャーも尋常ではなかったはず。どれだけ雑音をシャットアウトしようにも、手元のスマートフォンに視線を落とせば、嫌でもネガティブな情報が入ってくる。日本代表への毀誉褒貶が、いつも以上に激しかった今大会。選手の心理的な負担は、いかばかりであっただろうか。

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