宇都宮徹壱ウェブマガジン

JFL国立開催記念! 話題の2クラブの現在地とは? クリアソン新宿✕鈴鹿ポイントゲッターズ<1/2>

 今週の日曜日(10月9日)、東京の国立競技場がJFLの公式戦会場となる。カードはJFL第24節、クリアソン新宿vs鈴鹿ポイントゲッターズ。当WM会員の皆さんには、どちらもお馴染みのクラブである。そして、新しい国立競技場でJFLが開催されるのは、もちろん今回が初めて。ホームのクリアソンは、2万人の入場者数を目指している。

 クリアソンと鈴鹿の共通点は、どちらも拙著『フットボール風土記』に登場すること、そして今季の開幕前に注目度が高かったことが挙げられよう。「サッカーもビジネスも」というデュアルキャリアを追求するクリアソン。そして、日本フットボール界の生けるレジェンド、カズこと三浦知良を迎え入れた鈴鹿。今季のJFLは、例年になく注目を集めていた。

 ところがシーズンが始まってみると、クリアソンは初めての全国リーグでの戦いに苦しんで下位に低迷。直近の試合では、MIOびわこ滋賀との「6ポイントマッチ」を制して最下位を脱したものの、依然として降格圏内だ。一方の鈴鹿は、遠征先で「カズ人気」による入場者数増加に貢献するも一昨年の八百長未遂に厳しい裁定が下り、Jリーグ百年構想クラブの資格が剥奪された(よって今季は優勝してもJ3昇格はない)。

 今週は、そんな両クラブの代表者による対談をお届けする。クリアソン新宿からは、代表の丸山和大さん。そして鈴鹿ポイントゲッターズからは、専務取締役の森本美行さん。おふたりには「10.9@国立」への意気込みを語っていただきつつ、それぞれのクラブの現状についても可能な限り触れていただいた。

 なお、当日のチケットはこちらで6日の23時59分まで購入可能とのこと。今回の記事で興味を持たれた方は、13時キックオフの試合に駆けつけてみてはいかがだろうか。もちろん私も取材者として参加予定だ。(収録日:2022年9月22日、Zoomにて収録)

<1/2>目次

*アナリスト兼コーチ兼ビジネスもわかる専務取締役

*クリアソン苦戦の原因は「暑さ」と「全国遠征」?

*JFLの戦いを難しくさせる「企業チームの存在」

アナリスト兼コーチ兼ビジネスもわかる専務取締役

──今日はよろしくお願いします。丸山さんも森本さんも、今回が初対面ということですので、それぞれ簡単に自己紹介をお願いします。まずは丸山さんから。

丸山 今年からJFLにチャレンジさせていただいている、クリアソン新宿の代表、丸山和大と申します。クリアソン新宿というクラブは、僕が大学4年生だった2005年に立ち上げて、東京都リーグ4部を降り出しに13年かけて、何とかJFLまで到達することができました。1年目の今季は、順位としては非常に苦しんでいるんですが、鈴鹿ポイントゲッターズさんをはじめ、素敵な諸先輩方との対戦を通して刺激と学びを得ているところです。今日はよろしくお願いします。

──森本さんは、サッカー界でさまざまなお仕事をされてきましたが、まずは現在の鈴鹿での関わり方からお願いします。

森本 丸山さん、初めまして。森本美行と申します。まず、鈴鹿の現在の状況なんですけれど、監督兼GMのヤス(三浦泰年)が代表取締役になっています。実質的には現場がメインですので、クラブの現状をお話するのであれば僕が適任だろうということで、今回はクラブを代表する形でこの場に参加させていただきました。現在は専務取締役という肩書で、クラブ経営のほうも見させていただいています。

──もともとは去年の夏に、トップチームのコーチとして入閣されたのがきっかけだったんですよね? 森本さんのキャリアを紐解くと、横浜FCとヴィッセル神戸では、テクニカルサポート。東京ヴェルディと鹿児島ユナイテッドFCでは、トップチームアナリスト。京都サンガF.C.では、トップチーム分析アドバイザー。さらに慶應大学、仙台大学、神奈川大学では、コーチやテクニカルアドバイザーも歴任されています。

森本 そうした現場以前に、データスタジアム株式会社の代表を務めていました。「デースタ」という呼び名のほうが馴染みあると思いますが、さまざまなスポーツの公式記録やデータ、分析ソリューションなどを提供する会社です。Jリーグのクラブのサポートは、当初は会社の業務として行っていたのですが、データスタジアム退職後は個人で携わっていました。他にも週刊サッカーマガジンの月刊化にともなって、月刊サッカーマガジンZONEの企画及び編集、ウェブ版の立ち上げにも関わっていました。

──つまり森本さんは、現場で指導されていただけでなく、データ分析やメディアの分野でもサッカー界に貢献されてきたというわけですよね。丸山さん、ここまでのお話を聞いて、いかがでしょうか?

丸山 もう、すごすぎて(笑)。今でこそ「データ」だとか「アナリスト」という言葉が当たり前に普及してきていますが、そうでない時代から森本さんがパイオニアとして切り開いていったわけですからね。

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