宇都宮徹壱ウェブマガジン

サッカー界にも「語り継がれる物語」を! 村上宗隆シーズン本塁打記録更新に寄せて

 月曜日の夜に自宅で執筆していると、点けっぱなしにしていたTVから「ピロリロリン!」とニュース速報のアラートが鳴った。「また日本海の向こう側から飛翔体が発射されたのかな?」と思っていたら、ヤクルトの村上宗隆の56号ホームランを知らせる速報だった。それから10分ほどして、再びアラート音。今度は村上選手の三冠王が決まったというニュースだった。

 1日に、それも10分くらいの間隔で2回のニュース速報。王貞治のシーズン本塁打記録を58年ぶりに塗り替えた、村上選手がすごいことは言うまでもない。しかしそれ以上に痛感したのが、わが国における野球人気の根強さだ。ニュース速報になるということは、それだけ国民の関心事であるということ。だから村上選手だけでなく、太平洋の向こう側の大谷翔平についても、記録更新のたびにニュース速報が流れる。

 そういえば最近、サッカーの話題がニュース速報されたのは、いつだろうか? 私が記憶する限りでは、日本がワールドカップ出場を決めた3月24日が最後である。とはいえ、こちらは4年に一度の話。村上選手にしても大谷選手にしても、リーグ戦での話題である。そこからして、じりじりとした彼我の差を感じずにはいられない。

 野球に関しては門外漢の私だが、今回の村上選手(そして大谷選手)が野球ファンのみならず多くの日本国民に与えたインパクトについて、ひとりのサッカーファンとしてしみじみと考えている。そして、もやもやとしている(もちろん、野球界ではなくサッカー界に対して)。以下、愚痴めいた言説は極力排しながら、もやもやの正体を考察していきたい。

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