久々の日本で指導現場とメディアに感じたこと 中野吉之伴(フッスバルラボ主催)<2/2>
<2/2>目次
*ワールドカップ開幕100日前とは思えない静けさ
*「PVが稼げる」無料記事の蔓延は何をもたらすか
*日本代表は「最大限の警戒レベルで初戦に臨め!」
■ワールドカップ開幕100日前とは思えない静けさ
──ここからはドイツ在住ジャーナリストとして、中野さんにいろいろ伺いたいと思います。中野さんは日本に帰国後、執筆しているメディアの挨拶回りを欠かせなかったと思うのですが、今回はあまりなかったようですね。
中野 なかったですね。唯一の例外がサッカーダイジェストで、それも向こうのほうから「食事でもいかがですか?」という連絡をいただいたからなんですよ。もう少し時間があれば、挨拶回りをしたかったんですけど、今回はそういう時間がほとんど取れなかったです。東京にいる時間も限られていましたし。あと、最後にフットボリスタの編集者の方とは、東京駅でお茶できました。
──Twitterを見ていても、めちゃめちゃ忙しそうでしたね。
中野 今回はクリニックで全国10会場を回るのと、家族の時間を持つことがメインでしたので、そうせざるを得なかったです。メディア関係の皆さんには「すみませんがオンラインです」って感じですかね。
──そもそもの話、最近は編集者と書き手が直接会って打ち合わせする機会が減りましたよね。最初の打ち合わせはオンライン。以降の原稿以来はメールでやりとりして、掲載されたらURLが送られてきて終了、という。もちろんコロナの影響もありますけれど、ネットメディアが主流になったことで、こういうドライな関係性がすっかり定着していった印象はあります。
中野 ドライといえばドライですけど、わざわざ時間を作って編集部に行けば、必ず次の仕事につながるという話でもないですからね。もちろん仕事に関係なく「帰国されているのならお会いしたいです」というオファーをいただければ、こちらとしてもうれしいですよ。でも、そういう連絡はほとんどなかったです。
──都内でのメディアに挨拶回りするよりも、地方での指導者と交流を優先させているというのは、中野さんの仕事の比重が変わってきたことも影響していますよね?
中野 前回までは、メディアでの仕事を取ってくる優先順位は高かったし、クリニックについてもまだまだ浸透していなかったですからね。ですから帰国中は、都内にいることも多かった。それが今回は、完全に逆転しました。もっとも、挨拶に来なかったからと言って「もう中野には原稿依頼しない」という話にはならないと思いますが(笑)。ただ、宇都宮さんがおっしゃるように、最近はメールだけで顔も知らない編集担当の人のほうが多くなりましたね。
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