宇都宮徹壱ウェブマガジン

クラブが目指すのはタイトルのみにあらず 等々力での上位対決を取材して考えたこと

 先週の土曜日は等々力陸上競技場にて、J1第27節、川崎フロンターレ対鹿島アントラーズを取材した。戦前の順位は川崎が4位で鹿島が3位。ホームの川崎が勝てば順位が入れ替わるとあって、どちらも負けられない一戦となった。

 試合内容については、すでにご存じの方も多いと思うので簡単に。ホームの川崎は8分に家長昭博がPKを、そして14分には脇坂泰斗がFKを直接決めて、早々に2点リードする。しかし鹿島も52分、仲間隼斗が頭で決めて反撃ムードが一気に高まった。終盤は鹿島が押し込む時間帯が続いたが、川崎は粘り強い守備で逃げ切りに成功。21で勝利した川崎が、鹿島を抜いて3位に浮上した。

 川崎と鹿島という顔合わせは、両者にとって順位以上に「負けられない」関係性となっている。対戦成績は、川崎の25勝10分け14敗。川崎の鬼木達監督は、2017年に就任して以来「リーグ戦で一度も鹿島に負けていない」という記事を見つけた。気になって調べてみたら、鹿島がリーグ戦で最後に勝利したのは2015年8月29日の等々力での試合(スコアは31)。つまり7年も勝利していないことになる。

 岩政大樹監督就任後、初めての敗戦となってしまった鹿島。それでも、今後に期待が感じられる試合内容だったと、個人的には感じている。ところが試合後のアウェー席は、挨拶する選手を苛立ちに満ちた雰囲気で迎えていた。思うに、彼ら彼女らは試合結果以上に「いつになったらタイトルを取り戻せるのか?」という、不満と不安に駆られていたのではないだろうか。

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