宇都宮徹壱ウェブマガジン

自分自身と敬愛する写真家の原点を求めて FUKUOKA蹴球紀行<大牟田・北九州篇>

アビスパ福岡の快挙、そして筑後への旅FUKUOKA蹴球紀行<福岡・久留米篇>

 8月12日、西鉄久留米駅から大牟田駅へ移動。急行で30分、鈍行で90分。運賃が同じなら、後者一択というのが旅人マインドである。福岡県は意外と田畑が多く、車窓からのどかな田園風景が続く。県の最南に位置する大牟田市は、風景が少し南国の雰囲気。車のナンバーはほとんどが「久留米」と「熊本」だった。

 大牟田にやって来たのには2つの理由があった。まず、当地で活動する、大牟田サッカークラブVJFの取材。カテゴリーは県リーグ2部で、VJFとはスペイン語で「老いも若きもお祭り=viejo y joven festival」の意味である。クラブ代表の藤本明良さんにピックアップしていただき、その日の練習場に向かう。

 照明塔のある土のグラウンドでのトレーニングは、地方の県リーグ「あるある」の風景。後列左端が藤本さんである。OBの選手がお盆で帰省していて、そのお子さんも練習に参加していた。まさにVJFというクラブ名に相応しい集合写真だ。2日後の日曜日、彼らは久留米アゼリアと「筑後ダービー」を戦う。

 翌日、長崎に移動する前に、藤本さんに車で大牟田市内を案内してもらう。プロフィールで「東京都出身」としている私だが、実は亡き父の最初の赴任地が大牟田市で、私は当地で産湯をつかっている。自分の原点を確認しておきたい──。それが、大牟田を訪れたもうひとつの理由であった。

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