「いわきFCを創った男」安田秀一がCEO退任前に語ったこと J3での好調と東京五輪への失望、そして日本の未来<2/2>
<2/2>目次
*「自民党のための大会」だった(?)東京2020
*スポーツビジネスを実践しながら提言を続ける理由
*合同合宿のオファーは「僕らはウェルカムですよ!」
■「自民党のための大会」だった(?)東京2020
──いわきFCの話題からいったん離れて、ここから日本のスポーツ界全体について伺いたいと思います。安田さんはスポーツビジネスに関して、これまでさまざまな提言をされてきて、多くの著書も出しています。1年延期で昨年に開催された東京2020、安田さんはどのように評価されていますでしょうか。成功したと思います?
安田 僕に言わせれば、成功なんてものではない、惨憺たるものでしたね。僕が最も問題に思ったのが、大会におけるスポーツのあり方が汚されていたことです。最もコロナの感染者数が多くて、医療体制が逼迫している中でやるべきだったのか、という話ですよ。なんで強引に開催されたかといえば「自民党のための大会」だったから。本来であれば、政治とスポーツを切り分けるのが五輪憲章だったはずですよ。本当に「スポーツマンシップとは何だったのか」という話だと思っています。
──東京2020には「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」という3つのコンセプトはありました。これについてはどうでしょう?
安田 組織委員会の理事って、70代以上のおじいさんばかりだったじゃないですか。しかも橋本聖子さんに代わるまでは、組織委員長が森喜朗さんで、事務総長が元財務事務次官の武藤敏郎さん。高齢の政治家や元官僚が、五輪の組織委員会のトップをやっているのって、日本の他に中国くらいじゃないですか? 問題はトシをとっていることではなく、どれだけ真剣に「多様性と調和」とか「未来への継承」を追求していたか、ということですよ。それが響かないばかりか、次世代に負債を残しているわけだし。
──東京五輪が開催されたことで、日本のスポーツビジネスに良い影響を与えたという見立てはできないでしょうか?
安田 それはないですね。何度も言うように、あれは自民党のための大会でしたから。しかも、あの時の首相は菅義偉さんだったけれど、大会の開催で内閣支持率が上がったかといえば、そうはならなかった。コロナのピークと重なってしまったことで、大会後に菅政権は退陣を余儀なくされました。結局は自民党の自作自演でしたよね。でも、あの大会がなくても、日本のスポーツビジネスは成長してきていますから。
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