「えとみほさんが南葛SCで実現させたいことって何?」 栃木SCの思い出とプロスポーツ界への提言<1/2>
今週は、こちらのコラムで予告していた、南葛SCのマーケティング部部長「えとみほ」こと江藤美帆さんのインタビューをお届けすることにしたい。
南葛SCといえば今オフのえげつない、もとい積極的な補強が話題となっていたが、それはフロントに関しても同様。えとみほさんが栃木SCを離れるという情報が流れた時、真っ先に獲得に名乗りを挙げたのが、GMの岩本義弘さんであった。
SNSによる発信やマーケティング戦略、さらにはITツールによる業務効率化を栃木SCにもたらし、当該クラブのみならずJリーグ全体にも少なからずの影響を与えてきた、えとみほさん。とはいえ、その辺りの話はあまり新味がないので、本稿での扱いは最小限に留めている。
今回のインタビューで、えとみほさんに伺いたかったのが「プロスポーツクラブでの働き方」。というのも、えとみほさんが栃木SCを退職する大きな理由として挙げていたのが、実は「働き方を変える」だったからだ。具体的には、どういうことか? そしてなぜ、次の転職先が関東 1部の南葛SCだったのか?
本稿は、栃木サポや南葛サポのみならず「Jクラブでのお仕事」に関心がある方には、非常に読み応えのある内容となっている。なお、えとみほさんには来週月曜のハフコミウェビナーにも登壇していただく。チケットも発売されたので、ご興味ある方はぜひ!(取材日:2022年5月24日@東京・トップ写真提供:南葛SC)
<1/2>目次
*転職後も栃木との2拠点生活を続ける理由
*なぜ「最初のオファー」を重視するのか?
*栃木時代にスタッフの採用で心がけたこと
■転職後も栃木との2拠点生活を続ける理由
──今日はよろしくお願いします。さっそくですが、南葛SCに正式に赴任されたのはいつからでしょうか?
えとみほ 5月1日になります。初日がいきなりの試合日で、しかも栃木シティFC戦だったんですよ。それが、私が初めて見た地域リーグの公式戦でした。Jリーグに比べると、自由な感じというか、いい意味で暖かいというか。ものすごく敷居が低いんだな、というのが第一印象でした。
──SNSを見ると、えとみほさんを歓迎するゲーフラの写真がアップされていました。選手ではなくフロントスタッフの移籍に、サポーターがポジティブな反応を見せるというのが非常に興味深いですね。単に、えとみほさんが有名なのもありますが。
えとみほ とてもありがたいと思いつつ、自分でもびっくりだったんですが。そういえば栃木SCにいた時も、ゲーフラを作っていただいたことがありました。フロントスタッフがサポーターから注目されたのって、川崎フロンターレの天野春果さんから始まった流れだと思うんです。私の場合、サッカークラブで仕事をする前からSNSで発信していたので、少し特殊なケースだったのかもしれません。
──それにしても4年前、えとみほさんがJクラブで働くことになった時には驚きましたが、今度は私がずっと取材してきたハーフウェイまで降りてきてくれました。個人的には非常に嬉しいですし、期待感が膨らむばかりです。
えとみほ 宇都宮さんは「こっち側の人」ですからね(笑)。サッカーって、最初は日本代表とか、目立つところから入る人が多いと思うんですけど、ハマっていくとだんだんディープなところに行っちゃう気がします。この仕事も、そういう傾向があるのかもしれないです。私の場合、代表を入り口に某Jクラブを応援するようになり、そのクラブが降格したのでJ2を見るようになり、実際にJ2クラブで働くようになって今ここに至るという。
──このカテゴリーからJを目指すクラブを、これまで数多く取材してきましたが、Jクラブになったとたんに本来持っていた魅力が失われてしまうケースも、実はたくさん見てきました。こういうケースに名前を付けたいくらいなんですけれど(苦笑)、逆にカテゴリーが下がることで自由度が上がる感じってありません?
えとみほ そうですね。私の前職はJ2クラブでしたが、やっぱりできることとできないことってありましたね。「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」って思うことはたくさんあったんですけれど、クラブの伝統やしがらみがネックになったり、あるいは権利の問題があったりして、常に難しさは感じていました。
──現在は栃木と東京の2拠点生活だそうですね?
えとみほ そうなんです。栃木で残していた仕事があって、6月終わりまでには終わる予定です。行ったり来たりの生活は、確かに疲れるところもあるんですけれど、両方に知り合いがいて、それぞれの良さも感じられるのはいいですね。
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