宇都宮徹壱ウェブマガジン

5月21日に相次いだ不祥事は偶然か? 逸脱者への誤ったメッセージを懸念する

 先週「なぜ野々村チェアマンはTwitterをやらないのか」というコラムをアップしたら、直後にTwitterではなくJリーグのYouTube公式チャンネルに野々村芳和チェアマンが出演。その後も常勤理事の皆さんが個別に登場して、それぞれの領域とプロフィール、さらには素の部分までも公開していた(参照)。当WMの影響だとは露ほども思っていないが、Jリーグの新たな試みには大いに歓迎したいと思う。

 そんな中、最近Jリーグでは「これはまずいだろう」という事案も頻発している。まずJ2の大宮アルディージャ対ベガルタ仙台の試合で、試合後に大宮のサポーターが相手サポーターのテリトリーに侵入して暴力行為を起こし、仙台サポーターの側でも感染症対応ガイドラインに抵触する行為が確認された(その後、両クラブは謝罪声明を発表)。

 J1でも、浦和レッズ対鹿島アントラーズの試合会場で、スタジアムに到着した選手バスを囲んで浦和サポーターがチャントを大熱唱。試合終盤にもゴール裏で声を出しての応援が行われた。さらにセレッソとガンバの大阪ダービーでは、スタンドから投げ入れられたドラムのバチが女性客の頭を直撃。大事には至らなかったものの、被害者が相当なショックを受けていることをタイムラインで知って、非常に心を痛めている。

 これらの不祥事は、いずれも5月21日の土曜日に発生した。偶然だろうか? もちろん、それぞれの事案は個別に起こったものだが、関連性が皆無かといえば違うような気がしてならない。最近のJリーグをめぐる状況を考えれば、これらは起こるべくして起こった事案であり、他のクラブでも今後「絶対に起こらない」と言い切れないのではないか。加えてもうひとつ、非常に気になっていることがある。それは一連の不祥事に対する、Jリーグの反応の薄さである。

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