宇都宮徹壱ウェブマガジン

2026年大会以降の出場枠拡大は是か非か カタールへの切符が得られた今だから考える

 本稿は、埼玉スタジアムで開催されるワールドカップ・アジア最終予選、対ベトナム戦が行われる3月29日に執筆している。掲載されるのは30日の昼。ほぼ同じタイミングでスポナビのコラムもアップされるので、今回は少し未来の話題をしたい。

 カタール大会の次、2026年大会の開催国は、カナダとメキシコとアメリカ。初の共催となった2002年大会は「日韓大会」と呼ばれていたが、次回大会はどのように呼ばれるのだろうか? いずれにせよ、次の大会は史上初の3カ国開催となる。ベニューの内訳は、カナダとメキシコが3会場ずつ、そしてアメリカが10会場の合計16会場。そして、この大会から出場国数は32から48に増加する。

 現行のアジア枠は4枠(+プレーオフ)。これが次の2026年大会から、倍の8枠となることが決まっている。今予選の現状の順位に当てはめると、出場権が与えられるのは、日本、韓国、サウジアラビア、イラン、オーストラリア、UAE、オマーン、イラク。次のアジア予選が、どのようなフォーマットとなるのかは、まだ決まってはいない。が、これまでになく「ゆるい予選」となるのは、間違いないだろう。

「ゆるい予選」とは、具体的にどういうことか? そしてワールドカップへの道が楽になることは、果たして日本にどのような影響を与えるのだろうか? 考察の前提として、アジアにおけるワールドカップ予選の歴史を、あらためて振り返ることにしたい。

 アジア初のワールドカップ出場国は、1938年フランス大会に出場した、オランダ領東インド(現インドネシア)。この大会では日本もエントリーしていたが、日中戦争の影響により辞退したため、アジア予選は行われなかった。この大会の2年前、日本はベルリン五輪でスウェーデンを破っている。もしエントリーを辞退していなかったら、日本のワールドカップ初出場は60年早く実現していたかもしれない。

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