元日本代表・我那覇和樹が選んだ大分第3のクラブとは? 企業サッカーの枠に収まらないジェイリースFC<2/2>
元日本代表・我那覇和樹の新天地となる、ジェイリースFCとはどんなクラブなのか? 続いて登場していただくのは、クラブのCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)である竹本雅美さん。そして選手兼任の永芳卓磨監督である。
永芳監督は、FC岐阜、大分トリニータ、栃木SC、SC相模原でプレーした元Jリーガー。一方の竹本さんは、サッカーではなくバレーボール出身で、高校教師、大分県教育庁、文部科学省、スポーツ庁を渡り歩くという、興味深いキャリアの持ち主だ。
実は私がジェイリースFCの存在を知ったのは、ちょんまげ隊長ツンさんから竹本さんを紹介していただいたのがきっかけ。その後、彼女がハフコミの初期メンバーになってくれたことで、クラブの内情を知ることとなった。そうした中で発表された、今回の元日本代表選手の加入。これはぜひ、当WMで取り上げなければと思った次第である。
ご存じのとおり、大分県には巨大すぎるJ2の大分トリニータがあり、百年構想クラブとなったJFLのヴェルスパ大分もある。大分第3のクラブが、クラブの存在意義を自らに問うた時、導き出されたのが地域貢献とSDGs。その経緯について、さっそく語っていただくことにしたい。(取材日:2022年2月3日、オンラインで実施。3ページ目以外の写真はジェイリースFC提供)
<2/2>目次
*2018年設立、県3部からのスタート
*サッカーと地域貢献の両輪、そしてSDGs
*地域貢献で評価されるクラブになりたい
■2018年設立、県3部からのスタート
──まずは竹本さん、現在のポジションに至るまでのキャリアを教えてください。
竹本 竹本雅美と申します。私の専門はサッカーではなくバレーボールで、筑波大学を卒業後に地元の大分で高校の教員をしていたのですが、その後は県の教育庁でインターハイ担当となり、インターハイ終了の翌年の2014年4月に文部科学省、15年10月からはスポーツ庁に出向となりました。その後は大分に戻ったんですが、縦割の行政だと担当業務以外は手を出せないし、活動できないことを痛感しました。
──なるほど。ジェイリースに入られたのは、2017年10月ですよね?
竹本 そうです。「スポーツを通じたまちづくり」を目指しているということを耳にして、入社することになりました。最初からクラブを立ち上げる話はありましたが、競技も決まっていなかった段階で、次の年の4月にジェイリースFCを創設することになったんです。それで趣味レベルでサッカーを観ていた私が、およそ5カ月でチームを立ち上げて、そこからはずっと走り続けて今に至っているという感じです(笑)。
──さらりと今、すごい話をされましたね(笑)。もともと大分のご出身で、トリニータの試合はわりとご覧になっていたんでしょうか?
竹本 むしろ東京にいた文科省時代ですね。スポーツボランティアを担当して、Jクラブのボランティアの視察に行かせていただいたのがきっかけです。久しぶりにサッカーの試合を観て、トリニータの試合も観に行きたいと思うようになり、当時はJ3でしたが応援に行っていました。教え子の弟が所属していたことも、影響していましたね。
──なるほど。続いて、監督兼選手の永芳卓磨さん、お願いします。
永芳 僕も竹本さんと同じ筑波大学の出身で、FC岐阜と大分トリニータに2年半ずつ在籍していました。大分で契約満了となってから、トライアウトを経て栃木SCに入団するんですが、そこでも2年半。SC相模原に期限付き移籍をして、栃木でさらに1年プレーしています。そこでJリーガーは引退するんですが、大分を拠点にセカンドキャリアを模索していた時に、ジェイリースからサッカークラブを作るというお話をいただいて、2018年4月にジェイリースに入社しました。
──2018年は大分県3部からスタートして、19年に2部、20年に1部、21年には九州リーグに到達。そして今年、JFL昇格に向けて積極的な補強をしています。まずは、我那覇選手獲得の背景と意図について、教えてください。
竹本 現場に関しては、私はノータッチですので永芳さん、お願いします。
永芳 昨年、我那覇選手が福井に所属している時に試合を見ていたんですけど、実は別の選手のスカウティングだったんですよ。それで宮地裕二郎という選手を獲得することになったんですが、その宮地から「我那覇さんもまだチームが決まっていなくて、ジェイリースに興味を持っている」という話を聞いたんです。
──それが、いつ頃の話ですか?
永芳 去年の年末くらいですね。それで我那覇さんと話をする機会をいただいて、クラブの成り立ちから今のチームに足りないところまで、いろいろお話させていただきました。去年までは35歳の僕が最年長だったんですが、どうしてもピッチ内外でプロフェッショナリズムを体現できる選手が少ない。そこのところを包み隠さずお話しました。
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