宇都宮徹壱ウェブマガジン

「ユナイテッドでドーン」はなぜ起こるのか? 東京武蔵野シティFC突然の「合併」に寄せて

 実に唐突な発表であった。1月15日、JFL所属の東京武蔵野シティフットボールクラブが、関東リーグ所属の東京ユナイテッドFCを運営する一般社団法人 CLUB LB&BRB と連携してトップチームを運営することを発表。今季よりクラブ名を「東京武蔵野ユナイテッドフットボールクラブ」に変更することとなった。要するに、両クラブの合併。合併の発表は、ある日、突然降ってくる。まさに、ロック総統が言うところの「ユナイテッドでドーン」。この「ドーン」は、寝耳に水のサポーターの心情を的確に表現している。

 昨シーズンは1試合だけ、カミさんと一緒に武蔵野のホームゲームをスタンド観戦している。9月20日のFC大阪戦で、ホームの武蔵野が21で勝利した。ご存じの方もいらっしゃると思うが、武蔵野のホームスタジアムである武蔵野陸上競技場(通称ムサ陸)は、中央線沿線に暮らすわが家の「ご近所」。ちなみにカミさんは、横河武蔵野FC時代からシーズンチケット会員だ。われわれ夫婦にとり、ムサ陸にはさまざまな思い出が詰まっている。まさか昨年9月20日が、ご近所クラブとの永遠の別れになるとは夢にも思わなかった。

 今回の合併については、いちジャーナリストとしてよりも、いち地域住民として思うところは多々ある。これについては本稿の最後に述べることにして、その前に「ユナイテッドでドーン」はなぜ起こるのか、過去の事例から振り返ることにしたい。クラブ同士の合併には、大きく3つの理由が考えられる。すなわち(1)企業の思惑が合致したため、(2)地域をひとつにするため、(3)カテゴリーを上げるため。それぞれについて整理することは、今回の「ユナイテッドでドーン」を考察する上で決して無駄ではないはずだ。

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