宇都宮徹壱ウェブマガジン

忘れられた熊本豪雨被災地を行く ツンさん&じゃんけんマン同行記

 今週は、いつものコラムの形式からあえて逸脱して、先週訪れた熊本豪雨被災地の現状を写真メインでお伝えする。逸脱ということで言えば、今回のレポートは直接的にはサッカーとは関係ない。

 それでも当WMで取り上げるのは、サポーターと被災地支援の活動を並行して続けている、サッカー仲間のちょんまげ隊長ツンさんとじゃんけんマン(通称じゃんさん)が、継続的に被災地支援活動を続けているからだ。また、熊本県出身で元日本代表の巻誠一郎さんも、現地で支援物資を届ける活動を行っている。

 熊本の被災地といえば、まず思い出すのが4年前の熊本地震であろう。しかし今年7月4日に発生した熊本豪雨による災害は、65人が死亡、2人が行方不明となったにもかかわらず、ほどなく忘れ去られることとなってしまった。しかも発生から間もなく半年となるというのに、いまだに被害を受けた状態のままの家屋が、そこかしこに点在しているのが現状である。

 ロアッソ熊本のホームゲームを取材した翌日の12月10日、隔週ペースで現地を訪れているツンさん、そして鹿児島から35回も支援活動を続けているじゃんさんと合流。甚大な被害を受けた人吉市と球磨(くま)村の現状を、写真と文章、そして動画でお伝えすることにしたい。なお今回は、なるべく多くの方々に知っていただきたいので、24時間限定、12月17日正午まで無料公開とする。

 熊本市から高速バスで人吉インターチェンジで下車。ツンさん、じゃんさんと合流する。ツンさんの向こう側に見えるのが、豪雨で氾濫した球磨川。およそ1400世帯のうち490棟が浸水被害に遭い、交通網の寸断や断水で生活基盤を失った集落もあったという。猫がのんびり横切っている風景を見ていると、とてもそのような悲劇が起こったとは想像し難い。

 球磨川のすぐ近くにある『すぷぅぅん』という洋食屋で、打ち合わせを兼ねてのランチ。ハンバーグ定食は、このボリュームで840円。Jリーグファンにはお馴染み『さわやか』のハンバーグを想起させる味わいであった。なお、こちらのお店も浸水被害に遭い、移転して営業再開を果たしたそうだ。

 人吉市の観光名所は、平安時代に創建されて1200年以上の歴史を誇る、青井阿蘇神社。2008年には県内初の国宝にも指定され、地元の人は親しみを込めて「青井さん」と呼んでいる。球磨川にかかる朱色の禊橋は、欄干が破壊されたまま立ち入り禁止に。災害発生時の球磨川の水位の高さ、そしてその破壊力には驚かされるばかりだ。

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