宇都宮徹壱ウェブマガジン

Kリーグとブンデスリーガに見る「無観客の風景」 どうなる? Jリーグのリモートマッチ<1/2>

 今週は5月23日に実施したWMZOOM座談会「Kリーグとブンデスリーガから学ぶ『再開後のJリーグのあり方』」の模様をお届けする。ご登場いただくのは『スポーツソウル』日本版編集長の慎武宏さん、そして『フッスバル・ラボ』を主催する指導者&ジャーナリストの中野吉之伴さんである。

 周知のとおりKリーグは5月8日に開幕、そしてブンデスリーガも5月16日に再開。いずれも無観客試合であった。この座談会のあと、日本でも試合再開の日程がアナウンスされ、最初の2週間は無観客で行われることも決定。先日には「リモートマッチ」という新名称も発表された。では、そのリモートマッチは、どのように行われるのだろうか。先行事例となったKリーグとブンデスリーガから類推する、というのが座談会の趣旨である。

 今回の座談会では、慎さんから『スポーツソウル』の取材によるKリーグ開幕戦の模様を、そしてドイツ在住の中野さんからは現地の最新情報を、それぞれ語っていただいた。Jリーグが作成した新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインは、その多くはブンデスリーガを参考にしたと思われるが、地理的にも環境的にも近いKリーグから学ぶべき点も少なくないはずだ。

 間もなく始まるJリーグのリモートマッチ。それは果たして、どのようなものとなるのか。2つのリーグでの先行事例を参考にしながら、皆さんがイメージする材料となれば幸いである。最後に、今回の座談会にご出演いただいた慎さんと中野さんには、この場を借りて御礼を申し上げたい。(2020年5月23日収録)

<1/2>目次

*トレーニングマッチで本番に備えていたKリーグ

*準備不足のブンデスリーガが再開を急いだ理由

*実録! Kリーグ開幕戦はいかに行われたのか?

 

トレーニングマッチで本番に備えていたKリーグ

──5月8日にKリーグが開幕、16日にブンデスリーガが再開されました。いずれも無観客で行われたわけですが、それぞれの国での受け止めから教えてください。まずはKリーグから。慎さん、お願いします。

 韓国では非常にポジティブに捉えていますね。まずプロ野球、プロサッカー、そして先週は女子ゴルフが開幕しました。韓国はコロナに打ち勝ち、スポーツのあるべき模範を世界に先駆けて見せたという、強い自負を感じています。全北現代(モータース)と水原三星(ブルーウィングス)の試合は、40近い国々でも中継されました。ただ、観客を入れるタイミングについては、最近またクラスター感染が発生しているので、その話はいったんストップしている状況です。

──中野さん、ドイツについてはどうでしょう?

中野 ドイツの場合、他のヨーロッパ諸国と比べて感染者数も感染率も「比較的まし」と言えますが、日本や韓国と比べると格段に多いわけです。そうした中で再開を決断したことについて、もちろん反対意見もありました。それでも現地のファンの反応は、おおむねポジティブという印象ですね。無観客への違和感はあるにせよ、日常生活の中にサッカーが戻ってきたことは事実ですし、あらためてサッカーには国を動かすくらいの影響力があることを実感しています。

──ここで、日本と韓国、そしてドイツの動きを表にまとめてみました。まず、中野さんにお聞きします。ブンデスリーガは3月13日からリーグ戦が中断しましたが、当初は無観客で続けるという意見もあったようですね。

中野 そうですね。実はその前に順延になっていたボルシアMGとケルンの試合が、3月10日に無観客で行われていたんです。その2日後の12日、ヨーロッパリーグでフランクフルトがバーゼルとアウェー戦を行うことになっていたのですが、スイスは早い段階での中止を決めていたので、フランクフルトでの無観客試合となりました。これが中断前に行われた最後の試合で、それ以降はすべての試合が中止、という流れです。

──Kリーグは2月24日に開幕延期を発表していますが、その前にはどのような動きがあったのでしょうか?

慎 2月19日のACLで水原三星とヴィッセル神戸が対戦した時、入場者への発熱チェックは実施されていたんです。ちょうどその時期、大邸でクラスターが発生していたのですが、韓国での新型コロナへの警戒は1月から始まっていたんです。最も状況が苦しかったのが3月。そこをしっかりと乗り越えることができたので、4月19日にスポーツ興行の開催を政府が容認したんだと思います。

──そして5日後の24日にリーグが無観客での開催を決定し、そこから2週間で開幕戦が行われました。日本と比べてかなりスピーディーな印象ですが「まだ早いのではないか」という議論はありましたか?

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