選手移籍から考える「コロナの時代のフットボール」田邊伸明(ジェブエンターテイメント代表)<2/2>
■「カバーニ神戸移籍」はエイプリルフールだったけれど
──先ほど、海外のエージェントから「日本では年俸や賃金はカットされていないのか?」と質問されるというお話をされていました。幸い、現時点でJリーグではそういった話はないですし、新型コロナの死者の数もイタリアやスペインに比べれば格段に少ない。ということを考えると、ヨーロッパから日本への移籍を考える選手が増えるという可能性は考えられますか?
田邊 4月1日に「カバーニがヴィッセル神戸に移籍か?」みたいな報道があって、結局はエイプリルフールだったということがありました。まあ、神戸だったから妙な信ぴょう性があったわけですが(笑)。ただ、ここで知っておくべきこととして、給料の未払いがある選手は、移籍金がかからずに獲得できるんですね。
──それ、大きいですね!
田邊 日本のクラブにとっては魅力的な条件だし、向こうもJリーグでのプレーを魅力的に感じる選手はいるかもしれない。ただしヨーロッパの中には、今でも日本や中国を一緒くたに見てしまう人はいるし、日本との行き来が難しいことに難色を示す選手もいるでしょうね。
──現に今、日本にいる外国人選手は祖国に帰れないし、家族を呼び寄せることもできないわけですからね。当然、そういったリスクは考えざるを得ないでしょう。
田邊 もうひとつ想定されるリスクとして、このままリーグ戦ができなくなる可能性も考えないといけないと思います。これについては移籍うんぬんよりも、クラブやリーグの収入面の問題に直結する話ですけど。
──あまり考えたくないケースですけど、いったん白紙となった日程が、まったく再開の見通しの立たないまま終了する可能性も、絶対にないとは言えないわけですからね。Jリーグは今シーズンに関して「リーグ全体の試合数75%か、各クラブが50%以上消化することでリーグ戦は成立する」という特例を設けていますが。
田邊 試合数はリーグによって違うので、ここではJ1を例に考えてみましょうか。開幕節だけ行われて、残りの33節が開催できなかったとしたら、まずはDAZNに大きな影響が出ますよね。それからリーグやチームのパートナー(スポンサー)に対してもそう。無観客で開催するという考え方もありますが、そうなると入場料収入でクラブが打撃を被ることになります。たとえば浦和レッズとか川崎フロンターレあたりは、年間シートが入場料収入の半分くらい占めているわけですから。
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