ジェンダーを超えたスタジアム観戦の楽しみ方 えとみほ&ささゆかスペシャル対談<2/2>
■顔出ししたら「Jリーグがプロモーションで雇った女」?
──次のテーマにいきたいと思います。ささゆかさんがfootballistaに寄稿した「花柄とタピオカからの脱却 ジェンダーニュートラルなスタジアムへ」というコラム。タイトルのセンスもさることながら、「女性のスタジアム観戦」というテーマについて、男性が読んでも非常にわかりやすく書かれていることにも好感が持てました。
ささゆか ジェンダー論について関心を持ったきっかけは、サポーターとしてSNSで発信するようになったからなんです。Instagramで顔出ししていたら「こいつはプロのサクラなんじゃないか」と思われてしまった。「こんな(オシャレな)格好をした女子サポなんて、日産スタジアムにはいない」とか「Jリーグがプロモーションで雇った女なんじゃないか」とか。
──それ、面白い(笑)! 10年前にタイの国内リーグを取材した時には、明らかにサクラっぽい女性を見かけましたが、さすがにJリーグがそれをやるとは思えないですよね。
ささゆか もちろん、スタジアム観戦にふさわしくない格好もあります。たとえば厚底靴とか。でも服装でサポーター度合いを測るとか、クラブのホームページに載せていない範囲のドレスコードを暗黙の了解で決めると、新規のファンやふらりと立ち寄った人は来られなくなると思っているんですね。それを発信したら、意見を変えて同意してくれる人が増えたんですよ。一方で、ネットや世間で言われるフェミニストって、怖くてネガティブイメージもついて回るので、それを変えていきたいという思いもありましたね。
──その話で思い出したのが、韓国の釜山で観戦したE-1の日韓戦。韓国でも女子サポは増えていて、その多くがいわゆる「女性らしい」装いをしていました。ただしそれは、おそらく代表戦に限った話で、日本も韓国も国内リーグはまったく違っているんでしょうね。栃木の場合、女性の観客って、どれくらいいますか?
えとみほ 昨年の調査では3%ほど増えてはいましたが、まだまだ少ないですね。私が栃木に来たばかりの時、女性は全体の3割足らずでした。新規の女性客が増えない理由は、観戦環境の問題とかコアなサポーターが多くて敷居が高いという部分があると思うのですが、意外によく聞くのが女性同士のトラブル。これは栃木に限った話ではないんですが、新しくきたファンと古くからのファンの間でマナーを守る、守らないでイザコザがあったりするという話はよく聞きますね。
──つまり、女性が女性を訴えるという構図ですか?
えとみほ そうですね。よくネットではおじさんが若い女の子を叩いたりしているイメージがありますが、そればかりとも限らないんですよ。
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