RYUKYU SOCCER PRESS

琉球を退任する樋口靖洋氏の後任監督に喜名哲裕ヘッドコーチが就任

 

FC琉球は20日正午に発表されたリリースにて、チームを率いて3年目の迎えていた樋口靖洋監督の解任と、喜名哲裕ヘッドコーチの監督就任を同時に発表した。J1昇格へ向けて突き進んでいたチームはここ7試合で1分6敗と結果が出ておらず、大鉈を振るった決断理由として「目標のJ1昇格が厳しくなった今、直近の7試合の戦績を踏まえ、今季の更なる上位進出を目指すと同時に、来シーズンに向けての準備としてチームの立て直しを図るため、第34節の愛媛戦をもって樋口靖洋監督との契約を解除いたしました」と、クラブリリースにて綴られている。

 

樋口監督はクラブを通じてコメント。

「残り8試合を残してチームを離れる事になり、チーム関係者、選手・スタッフは勿論、 これまで応援して頂いたファン・サホーターの皆様に大変申し訳なく思います。最後までやり切れなかった事は、本当に残念であり悔しい気持ちが強く残っていますかが、 J1昇格の可能性がほぼ無くなった事と、直近の戦績の結果責任は監督にあり、このクラブの判断は受け入れなければいけないものだと思っています。

 

FC琉球では3シーズンに渡り指揮を執らせて頂きました。ホップ・ステップ・ジャンプとチーム力を上げ、3年後には J1にチャレンジするという目 標をクラブと共有し、チーム作りを行ってきました 今シーズン、9月以降難しい試合が続き失速してしまいましたが、シーズンの2/3を昇格の可能性を持って戦うことが出来ました。これは選手の成長と頑張り以外の何ものでもありません。共に戦った選手・スタッフを誇りに思います。

 

昇格という目標は叶いませんでしたが、「沖縄の青い空と海に似合う攻撃的なサッカー」を貫き、そのスタイルを積み上げ、クラブの礎となるものは築けたのではないかと思います。コロナ過の難しい状況にも関わらず、練習グラウンドを御提供頂いた自治体の皆様、いつも素晴らしいグラウンドを用意して頂いた、芝生管理の皆様、経済状況の厳しい中でもご支援を頂いたスポンサーの皆様、そしてスタジアムに足が運べない中でも応援を続けて頂いたファン・サポーターの皆様、本当にありがとうございました。

今後のクラブの発展とFC琉球に関わる全ての皆様のご健勝を心からお祈り申し上げます。これからは、FC琉球のファンとして大好きな沖縄を訪れたいと思います」と綴った。

 

琉球がJ2リーグ初挑戦となる19年。前年度のJ3リーグ優勝に導いた金鍾成監督(現・鳥取監督)からバトンを受け取った樋口監督は、信条とする攻撃サッカーを開幕節・福岡戦から押し出すと、鈴木孝司(現・新潟)が2得点を奪い3-1で勝ち、J2初陣に華。その後も勝利を重ね開幕4連勝を達成し鮮烈な印象を与え、2・3月のJ2月間優秀監督賞を受賞した。

その後、8戦未勝利や5連敗を喫するなど勝てない時期を過ごしたものの、上門知樹(現・岡山)の覚醒や、怪我から復活した上原慎也の活躍などから白星を奪いきり、最終成績13勝10分19敗で14位フィニッシュとJ2残留を果たした。

 

2年目は、新型コロナウイルス感染症の大流行により、前例無きリーグ戦の長期中断と超過密日程を強いられたなか、2月23日の開幕節・千葉戦から7月29日の磐田戦まで8戦未勝利を経験し、一時は最下位まで転落。しかし2年目の小泉佳穂(現・浦和)や大卒ルーキー池田廉といった若手の積極起用や、田中恵太をサイドバックへのコンバートを促すなどし着実にチームを発展。特に攻撃姿勢は存分に発揮され、3点以上を奪った試合は6試合。そのうち、第18節・大宮戦では5ゴール、第21節・松本戦と第40節・愛媛戦においては6ゴールを奪うなどインパクトを与え、前年度から順位を2つ落とし16位で終えたものの、14勝8分20敗と勝ち星を1つ増やした。

 

「ホップ、ステップと踏み、今年はジャンプの年にする」と、年間勝点80獲得を目標にJ1昇格へ向けた飛躍の年にすると誓った3年目の今年は、開幕ダッシュに成功。開始1分の池田のゴールを守りきり初陣を飾った開幕戦の磐田戦を皮切りに、チーム初となる5連勝を達成。チーム全体の守備力の強化とともに、風間宏矢と田中の右サイドから織りなすワイド攻撃が確立され、第8節の東京ヴェルディ戦まで7勝1分と無敗を維持。新潟との首位争いを演じた。

 

ゴールデンウィークでの過密日程を経て怪我人が続出するも何とか持ちこたえ、前半戦だけで13勝4分4敗とJ1昇格争いに名を連ねると、他チームへの選手の引き抜きを抑えて戦力維持に成功。だが、勝負の後半戦への初陣となる第22節・相模原戦で1失点し黒星を喫すると、続く大宮戦では2度のリードを守りきれず引き分けた。

 

それでも上位争いに食らいつき、第27節・秋田戦で勝利し3位に浮上。しかし9月の長崎、京都、磐田との上位対決で全敗し、下位に低迷する群馬、愛媛にも敗れ、ここ7試合は岡山戦での引き分けを含む1分6敗。順位は8位まで下がり、J1昇格圏内に立つ2位京都との勝点差が19となったタイミングでクラブは来季に向けた準備へ方向転換。樋口監督は退任し、チームの立て直しを喜名新監督に託す形となった。

 

喜名監督は那覇西高校から95年、名古屋に加入しプロ入り。FC東京、大宮、福岡、東京V、熊本とJリーグクラブを渡り歩き、海邦銀行SCで現役生活に幕を閉じた。指導者としてはWウィング沖縄JFC、Wウィング沖縄FC監督を経て、16年に琉球に新設されたU-18の初代監督に就任。同じ年、金鍾成監督の就任と同時にトップチームのヘッドコーチに就いた。Jリーグを指揮するために必要なS級ライセンスを19年に取得。これまでキャンプ期間中のトレーニングマッチで指揮を執ったり、今年から開催されているJエリートリーグでは全試合監督としてタクトを振るってきたが、Jリーグの舞台で監督として立つのは今節の松本戦が初めてとなる。

 

新指揮官は「今回の監督交代はヘッドコーチとしてサポート出来なかった責任を強く感じております。2016年よりFC琉球トップチームに携わり多くのことを学び成長させていただいた中で恩もありますし今回、監督を引き受ける決断をいたしました。これまでチームが積み上げてきたものを大切にしながら、さらに前進させ攻守ともにアグレッシブに戦い、FC琉球らしい躍動感あるサッカーを展開していきたいと考えております。多くのサポーターの皆様に応援していただけるよう強い覚悟を持って今シーズンの残りをチーム一丸となって戦い抜きます。熱いご声援のほど宜しくお願いします」とコメントした。

琉球は今節のアウェイ・松本戦から最終節までの8試合、喜名新監督がチームをまとめ順位浮上を狙う。

 

 

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