長崎サッカーマガジン「ViSta」

【アカデミーレポート】プリンス九州1部第17節 V・V長崎U-18対アビスパ福岡U-18 レポート~高さとタイトさに再び苦戦。長崎がまさかの敗戦を喫する~

「何かをやろうというとき、試練というのはあるもの」

試合後の原田武男監督は選手たちにそう語りかけた。この直前、プリンスリーグ九州1部で首位に立つV・ファーレン長崎U-18は、5位のアビスパ福岡に0対2で敗戦。上位を争う鹿児島城西、日章学園の結果次第では優勝どころか、プレミアリーグ参入戦出場圏となる2位以内をキープする可能性も危うくなってしまった。

高さのある選手をそろえて、プレスをかけてタイトな競り合いに持ち込む福岡に対し、ボールを動かしていこうとする長崎。だが、チャンスは作るもののフィニッシュの精度を欠き、ゴールを奪えない時間が続く。

高さとタイトで戦う福岡は、左サイドから再三に渡って突破をはかっていた岩永創太がカットインしてのシュート。これは長崎のGK黒瀬理仁が弾くものの、井上雄太が押し込み福岡先制。

岩永の突破を警戒する長崎は、ハーフタイムに右SBを交代する長崎に対し、福岡はリードした優位さを生かして、よりラインを高く上げてハイプレスを展開。その中でもボールを動かしていく長崎は54分に宇佐川眞央がドリブルで攻め上がりシュートを放つも、惜しくもこれはバー直撃でノーゴール。

その後もセットプレーからチャンスを作っていく長崎だが、焦りのためか細かいミスがあり福岡ゴールを割ることができない。すると66分、カウンターから得た岩永の左CKから山下湊太郎がゴールを決めて0対2。

その後もシュートがバーを叩く不運もあり2点差を縮められない長崎は、71分にコンディションの問題でベンチスタートだった七牟禮蒼杜を投入して攻め立てるが、チーム全体としてミスを減らせないまま0対2で試合を終了した。

最近のリーグ戦では主力陣が相次いで体調不良になりプレーできずにいたが、今節も七牟禮蒼杜・西村蓮音ら主力を欠いたことの影響はあったろう。だが、前節の九州国際大附属同様、高さとタイトさを前面に戦う相手に勝利できなかったのは問題だ。

このチームは今年こそ参入戦を勝ち抜き、プレミアリーグに昇格し、その翌年にはプレミアリーグ残留を目指さなければならない。それがプリンスリーグ中位や中位以下の相手に苦戦し1分け1敗だった。

福岡戦に勝利すれば、他チームの結果次第で2以内が確定する長崎だったが、敗れたことで29日の鹿児島城西の結果次第ではリーグ残り1試合で3位に落ちる可能性が出てきた。だが、最終節では優勝を争う城西と日章が直接対戦するため、最終節に勝利すればほぼ2位以内は獲得できる状態である。

「いろんなプレッシャーがあると思う。でも、みんなが目指すプロはこういうプレッシャーがある世界。その中で認められなければならないんだ。それができないのならプロにはなれない。このチームで戦う公式戦があと1試合になるか、(プレミアリーグ参入戦を含めた)3試合になるのか。どこかに隙があれば、こういうところに出る。それを忘れないでほしい」

次節は12月2日。試合までの準備期間は少ない。その中でできることは気持ちをあらためて整えることだけである。今シーズンの始動以来、トレーニングやトレーニングマッチ、大会を繰り返して『人事』は尽くしてきたはずだ。ならばあとは心を整えて戦い、『天命』を待つだけである。

次の一戦で終わるか、その先が続くか。

全ては自分たちにかかっている。

reported by 藤原裕久

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