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【アカデミーレポート】令和5年度(第102回)選手権長崎県大会総括レポート~県内三強の今年度を制したのは長崎総科大附~

【長崎県予選決勝戦】

11月12日、高校サッカー界最大の祭典である冬の選手権出場を争った『令和5年度(第102回)全国高等学校サッカー選手権大会 長崎県大会』が終わった。トランスコスモススタジアム長崎で開催された決勝戦で長崎総合科学大学附属高校と国見高校が対戦し、長崎総科大附が県代表の座を勝ち取った。

試合は終始長崎総科大附の流れだった。立ち上がりから徹底して長いボールを使って相手陣内に押し入り、強烈な寄せでセカンドボールを回収。球際の部分で優位に立つと7分に福島文輝が先制ゴール。

国見も徐々に反撃を狙っていくが、長崎総科大附が長いボールを入れるスピードに負けまいという焦りのためか、ボールを早く回し過ぎてミスが目立った。これでは空中戦に対して地上戦でスピード勝負をするようなものであり、地の利を生かせない。それだけ国見には焦りがあったのだろう。

それでも1点差なら後半で十分に立て直せるはずだった。だが、戦い方が一切ブレない長崎総科大附は48分に甲斐智也の突破から金城琉煕が押し込み2点差。攻めるしかない国見も58分に山﨑夢麓のゴールで1点差とするが、交代の切り札に成長した尾島を投入した長崎総科大附は、その尾島のクロスから福島が追加点。そのまま国見の反撃を抑え込んだ長崎総科大附が2年ぶり9度目の選手権出場を達成した。

【決勝に出場した2チーム】

優勝した長崎総科大附は夏からの強化が見事だった。福島、尾島ら主力を一時はBチームに落としてでも成長を我慢強く待ちつつ、チーム全体に戦う意思を徹底させたのは見事だ。もともと京谷來夢・淺見歓太を中心とした守備に定評はあったが、甲斐・平山零音・金城ら実力者の良さをしっかりと発揮させた。決勝では大屋麻尋や仲宗根惺もしっかりと球際に寄せて国見に主導権を与えなかった。着実にチームを作り上げた定方敏和監督とスタッフ陣の努力に敬意を表したい。

対する国見は、恐らく実力では今大会ナンバー1だったろう。中山葵、西山蒔人の2トップは県レベルではなかった。左サイドで素晴らしい攻め上がりを見せた門崎健一はどの学校にとっても驚異だったし、キャプテンの平田大耀は今大会ナンバー1のCBであり、年間を通して「苦しいときの平田」と言われるほど安心していた。彼と中浦優太のCBは本当に安定していた。それだけに決勝戦で力を出しきれなかったのが実に悔やまれる。一方でスタメンに2年生が多い点は来年への好材料となりそうだ。

【日大・海星・創成館・佐世保実業】

今大会を通して感じたのは県内でも徐々にチーム格差ができつつあるということだ。ベスト8レベルの対戦でも大差のゲームが続いたように、今大会は長崎総科大附・国見・長崎日大の3強と他校の間にやや差があるように感じた。

今年から坂本信行監督が指揮を執る長崎日大は年間を通して好成績をおさめた。日大らしいボールのつなぎをベースにして相手陣内で戦うサッカーは攻撃的で、山口翔・中川粋、白濱利羽・友永響、大町璃史らのタレントも充実していた。今後も間違いなく県内サッカーをリードしていくチームだろう。

長崎総科大附をあと一歩まで追い詰めた海星の健闘は今大会の目玉だった。もともと「隠れタレント軍団」と呼ばれるほど好選手がそろっていたこともあるが、彼らがまとまったときの強さは3強に十分匹敵するものだった。近年急速に力をつけ、今大会も一瀬壮、坂本一行、佐藤航大らを擁する九州文化に快勝した準々決勝の戦いも見事だった。西山陸・藤本龍星・小倉遥翔らは卒業するが須田隼太・本村碧海らが最終学年となる来年も期待をしたい。

一方で今年、らしさを見せられなかったのが創成館だ。夏場には一度調子を上げ、故障者もグッと減ったものの大会のたびに故障者に泣き、力を出しきれない悔しい年で終わった。選手権でも篠原太希・西咲人ら主力が万全でなかったのが悔やまれる。

その他、試合を取材した中で目を引いたのが佐世保実業だ。選手権予選では3回戦で国見に敗れベスト16に終わったが、1年生FW横田翔栄に裏を狙わせつつ、相手に応じて前からボールを奪って攻めるサッカーは国見を大いに苦しめた。ボランチ富永凰誠の存在感も大きかった。ベスト8以上の実力を感じさせるチームだった。

reported by 藤原裕久

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