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【アカデミーレポート】原田武男U-18監督インタビュー「戦うリーグはプリンスでもプレミアを意識して、そこで戦える力をつけていかなければ昇格できない」

クラブ発足時から、フロント業務もこなしながら選手としてピッチでプレーし、引退後はスクール事業や育成、トップチームのコーチとしてクラブを支え、文字どおりの絶対的なレジェンドである原田武男U-18監督。かつて、中学卒業後に進路に悩む江川湧清(現ガンバ大阪)を周囲が危ぶむ中で獲得に乗り出して大成させ、U-12のセレクションに参加した安部大晴の獲得を一も二もなく推し進めた。一昨年にはU-18をプリンスリーグ九州初優勝に導き、昨年もリーグ2位に入ってプレミアリーグ参入戦に2年続けてチームを出場させた。育成で十分な実績を残す原田監督が、今年狙うは当然ながらプリンスリーグ九州2度目の優勝、そしてプレミアリーグ参入だ。新チームととともにシーズンへ向かう原田監督に今シーズン目指すものについて話を聞いた。

■新チームが始動したわけですが、今年のチームはどんなチームになりそうだと感じていますか。

昨年まではどちらかと言うと、組織的な守備から攻撃という感じだったと思います。そのあたりで言えば、今年のチームは守備の面でまだ今一つ駒不足という感はあるんですが、攻撃の部分で言うと昨年以上にタレントがいると思います。

■そのあたりを踏まえて、どういったチーム作りを考えているか聞かせてください。

我々がこの2年間結果を出せてきたのは、安定した守備からの攻撃というベースがあったからこそなので、そこは絶対に外せないかなと。なので、現状ではもう一度組織的な守備を構築して、強みの攻撃につなげていきたいと思います。

■守備の積み上げについて具体的にはどうやって上げていこうと思っていますか。

守備の考え方や、やり方というのは大きくは変わっていないので、個人の配置が大事になるのかなと思っています。このポジションには誰を置くのか、この位置は誰の方が良いのかというところですね。そこを含めてゲームをやりながら修正していくしかないと思います。

■プリンスリーグ九州は一昨年が優勝で、去年は準優勝。上位争いが定着してきたわけですが、今年のプリンスリーグはどんなリーグになりそうだと考えていますか。

神村学園がプレミアリーグに昇格して、下部リーグから2チームが昇格してきて、けっこうチームが入れ替わったんですけど今年も楽なリーグではないと思います。ただ、この2年、プレミアリーグ参入プレーオフでわれわれが感じたのは、プリンスを圧倒する力をつけていかなければ参入戦では勝てないということです。戦うリーグはプリンスでもプレミアリーグを意識して、そこで戦える力をつけていかなければ昇格できないと思うので、そこを目指してやっていきたいと思います。

■昨年に神村学園がプレミアリーグに昇格しましたが、神村とのリーグ戦では常に競った試合で勝ったり負けたりという感じでした。その中で神村が昇格できたのは、どのあたりに差があったと思いますか。

守備についてはわれわれの方が良かったと思っています。ただ、ああいうトーナメントのような昇格を争う大会で勝ち抜く、相手よりも点を取るというところでは、神村の方が強かったと思いますね。だからこそ今年、アタッカーが多いという長所を生かせるんじゃないかと思っています。でも、その大会へ出場するためにリーグ戦を勝ち抜くには、守備の安定性が絶対に必要なんでですね、攻撃と守備の両方を追い求めていきたいと考えています。

■3月にはバイヤー04レバークーゼン(ドイツ ブンデスリーガ1部)との提携で、トップに二種登録された選手たちを連れてドイツで強化合宿に向かいます。子どもたちにはどんなことを感じてほしいと思っていますか。

子供たちには、いろんな刺激や今の自分に足りないものを感じてほしいと思っています。上には上がいるということも理解した上で、自分がやれることを100%できる選手になってほしいですし、そういった意識を持ってもらいたい。そうしてチームに戻ってきたときには、他の選手たちにも感じたこと、学んだことを伝えていってほしいと思いますね。

■原田監督自身はどうでしょう?ドイツでの合宿で得てきたいものは何になりますか。

こういうふうに研修に行けるのはアカデミーの指導者となってからは初めてなので楽しみでもありますし、同時にヨーロッパでは育成年代にどんなことが行われているのかを感じたいですね。おそらく、育成年代で言えば日本も海外もそこまではレベルは変わらないと思うんですよ。でも、そこのからの2、3年で大きく差がついていく。そういったところを学べればと思っています。自分自身にもチームにとってもプラスになる部分を吸収してきたいと思います。

reported by 藤原裕久

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