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【アカデミーレポート】全国高校サッカー選手権に挑む国見、地区予選が始まった県新人戦。まだまだ熱い高校サッカー


カタールワールドカップが終了し、サッカー界全体が新シーズンへ向けた準備に入っている中、高校サッカーでは今も多くの学校が活発な活動が続いている。全国高校サッカー選手権に出場する各県代表のチームはもちろん、来年1月の新人戦に向けた各地区予選が開催され多くの学校が戦っているのだ。

国見にとって12年ぶりの全国高校サッカー選手権の開幕がいよいよ迫ってきた。国見はすでに長崎を出発し、29日の1回戦に向けた準備を進めている。木藤健太監督率いる新生国見、全国初戦の相手は北海道代表の北海高校。2年連続12回目の出場となる強豪で、昨年は長崎総科大附と対戦(1対2で敗戦)。2年連続で長崎勢との対戦となった。

北海は堅守を伝統としているが、今年はボールを奪ってから前に運ぶ意識が強く、FW田中準人(2年)をターゲットにして落としたボールから、FW野村光希(2年)がペナルティエリアに侵入する形や、DF松永悠生(3年)をキッカーとした攻撃、中心選手である桜庭平良(3年)を起点とした攻めで得点を狙う。岩井奏(3年)と空中戦に絶対の強さを持つ金田凪斗(3年)を中心とする守備も堅い。

2年時から10番を背負う『国見の化け物』、北村一真

国見は何と言ってもエースの北村一真(3年)に期待。予選でも威力を発揮した彼のキックは本大会でも貴重な武器となるだろう。北村のカバーとして濱田渉帆(3年)の動きも重要だ。彼とCBの上田陽南太(3年)が位置取りや判断を間違えれば、チームのバランスが大きく崩れGK今村泰斗(3年)の負担も増すことになる。積極的にチーム全体で声をかけてカバーし合ってもらいたい。

その上で、左の和田夢叶(3年)と中村敦貴(3年)、右の幸偉風(3年)と村田一翔(3年)には積極的に仕掛けること、早めに展開していくことを期待したい。FW利根悠理(3年)の決定力やボールをおさめるプレーが引き出せれば面白い。ここでFW中山葵(2年)が走力を生かしてこぼれ球を拾うことでチャンスシーンはさらに増すだろう。

そして何と言っても本大会での爆発が期待されるのが川添空良(3年)だ。現在は筑波大の監督を務める平山相太さんをして「J1にも行ける」と評されたポテンシャルを持つ川添だが、選手権予選では本領を発揮しきれなかった。好調時の彼のスキルやセンスは間違いなく全国でも輝けるものがある。彼が予選の鬱憤(うっぷん)を晴らすプレーを見せ、新生国見が全国勝利を挙げることを期待したい。

本大会での爆発が期待される川添空良

国見が全国への戦いへと向かっている間、県内では新人戦の地区予選真っ最中だ。地区予選は始まったばかりだが、やはり注目となれば創成館、長崎総科大附、日大といった強豪所。

地区予選を大勝発進している創成館は守備では池田隼人(2年)・田原昊仁郎(1年)、攻撃では篠原太希(2年)、今福海理(2年)・竹内大翼といった選手権予選の主力が健在。チーム力が落ちることは考えにくく、地区予選突破はもちろん、県新人戦制覇は十分に視野内だ。

創成館のアタッカー篠原太希

選手権出場こそ逃したものの、新人戦・高総体・県リーグと県内三冠を達成し、参入戦を勝ち抜いてプリンス九州一部入りを達成した長崎総科大附も選手権予選を戦った主力が健在。DF京谷來夢(2年)・左サイドの平山零音(2年)・FW福島文輝(2年)など強力な選手たちがそろう。攻守のエースだったキャプテンの竹田天馬(3年)が抜けた中盤を、仲宗根惺(2年)・宇土尊琉(1年)がカバーできるかがカギとなるだろう。

2年生ながらすでに主力となっている長崎総科大附の平山零音

長崎日大も高村啓太朗(2年)・友永響(2年)・田代拓叶(2年)らレギュラー陣が残っているのは好材料。これに攻撃のアクセント役である大町璃史(1年)がどれくらい融合していくか注目したい。他にも新鋭、九州文化の市瀬壮(2年)や佐藤航大(2年)、南山のアタッカー岩橋知也(2年生)、左サイドバック下田凌平(2年)、鎮西のボランチ前田純大(1年生)など注目したい選手は多い。

チーム戦術が確立していない今こそ、選手の個性が出やすい部分もあるので機会を見つけて小まめに新人戦地区予選も観戦したい。

reported by 藤原裕久

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