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【アカデミーレポート】第101回全国高校サッカー選手権長崎県大会 決勝レポート~県最強の二校が死力を尽くした決勝戦。国見が劇的AT弾で12年ぶり23度目の選手権出場を決定~

『今年の長崎高校サッカーの頂点を決める戦い』
11月13日に行われた諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で開催された『第101回全国高校サッカー選手権長崎県大会』決勝戦は、まさにそんな戦いだった。

2年前に、今年1月に亡くなった小嶺忠敏監督が率いる長崎総大附属を破って悲願の選手権初出場を果たし、3年連続で決勝戦に進出してきた創成館高校。2019年に4年ぶりの県大会決勝進出を果たして以来、4年連続でベスト4以上に進出し23度目の選手権出場を目指す国見高校。誰もが認める県内二強の対戦は、立ち上がりから意外な展開で始まった。

まず、先手を取ったのは国見。今大会で国見最大の武器となっている北村一真のキックを生かしたCKから、平田大耀がヘディングで合わせて立ち上がり4分に先制ゴール。接戦が予想される試合で早い時間にリードを奪い、がぜん国見有利という雰囲気が強まるが、ここから逆に試合の主導権を握ったのは創成館。

「先制点が取れたことで、逆に1点を失わないようにという気持ちが出たのか・・(木藤健太監督)」という国見に対して、リスクを恐れずにラインを高く上げる創成館は、トップに入った波多野をターゲットにしつつ、福田虹斗、田川蓮翔らサイドや1.5列目が積極的に攻撃を展開。本来はボール保持で上回る国見を押し込み、26分にはボールを持ち上がった波多野のシュートがディフレクションしてゴールイン。試合を1対1として前半を折り返す。

後半に入っても試合巧者ぶりを発揮し、落ち着いた守りを見せる創成館だが、ボールを動かす判断のスピードを上げた国見も徐々に反撃を開始。幸偉風と中村敦貴がサイドに侵入し、前線では中山葵が細かく動いて創成館ゴールに揺さぶりをかけていく。

後半に入り劣勢に回った創成館だが、GK濱村達也のファインセーブと、田原昊仁郎・池田隼人・松井奏斗らDF陣が体を張って守りを披露。攻めながら得点の奪えない国見は利根悠理を投入し勝負を懸けるが、創成館DF陣は堅守を維持し得点を許さない

双方ともに譲らずスコアは1対1のまま。このまま延長突入か、スタジアムにいる誰もがそう考えたアディショナルタイムに、攻め続ける国見はキャプテン村田一翔が左からゴール前にクロス。これをヘディングで合せた利根のシュートは、ここまで幾多の決定機を防ぎ続けていたGK濱村の手を超えてゴールイン。

試合はそのまま終了し、創成館との壮絶な激闘を紙一重の差で押し切った国見が、2対1で勝利。かつて常勝王者を呼ばれた国見が3年越しの悲願を果たし12年ぶり23度目の優勝を達成した。

reported by 藤原裕久

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