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【アカデミーレポート】開幕!令和4年度(第74回)長崎県高総体サッカー。~県4強を脅かすのは!?~

【新人戦・県リーグでの状況は?】
今日(6月4日)から、『令和4年度(第74回)長崎県高等学校総合体育大会 サッカー競技(男子)』がスタートした。大会でシードされるのは、1月の新人戦の上位4校。長崎総合科学大学附属高校・国見高校・創成館高校・長崎日大。実力と実績面で県内トップのこの4チームを軸に大会は進む。

1月の県新人戦では新型コロナウイルス感染症のために決勝戦が中止となり、長崎総大附属と国見が同校優勝。創成館と長崎日大はこの2校に敗れてベスト4に終わった。県リーグでは消化試合数が違うため、勝ち点で順位を語るのは難しいが、国見と長崎総大附属が無敗、1敗で創成館・日大・海星と続いている。

【優勝候補の4強】
大会優勝候補と挙げるとすればやはり今大会も、長崎総大附属・国見・創成館・日大の4強。

故・小嶺忠敏監督後の新体制で挑む長崎総合科学大学附属高校

長崎総大附属は実績・能力ともに高いが、チームの主軸に新たな顔が少ないことが気がかり。得点源である西岡紫音の負傷欠場も続いており、エース竹田天馬にかかる期待は大きい。竹田は県リーグでは前目でも起用されているが、本職のボランチで見せる運動量とスキルは県屈指。次代のエース候補である平山零音、クレバーな対応を見せる瀬戸俊樹ら実力者とともに竹田がいかにチームを引っぱっていくか。長崎総大附属の成績はそこに大きく左右されそうだ。

総部員数120名以上。県随一の部員数となった国見高校

国見は相手に合わせて戦ってしまう点が懸念材料だが選手層・レベルともに高い。CB上田陽南太・SB村田一翔・エース北村一真・チャンスメーカー川添空良など最後尾から前線まで軸となれる選手がそろっておりポテンシャルは県内随一。それだけに前後半70分という短めの時間となる高総体で、開始から強度高く戦えるか、相手に合わせることなく戦えるかが大会のカギとなりそうだ。

アグレッシブなスタイルで高総体初制覇を目指す創成館

故障者続出で始動した創成館だが、今回も手堅くしぶとくチームを作り上げてきた。1年時に選手権本大会にも出場し期待を集めながら2年時に迷走した感もあった波多野が見事に復調。鋭さのある山崎雄貴、キックの質が高い右の福田虹斗、独自のセンスを持つ篠原太希、エースナンバー8を受け継ぐ田川蓮翔と戦力は十分に整っている。今大会も上位進出は間違いない。

タレントも多く、今年も上位争いが確実視される長崎日大

過去10年の県高総体で優勝2回、準優勝3回、ベスト4を2回、ベスト8を2回。唯一の記録なしはコロナ禍で中止となった年だけという『夏の強者』、長崎日大。ボールをつなぐ伝統のスタイルだけでなく、今年は当たり負けしないタイトさも見せており、白石快周・山口大斗・高嶺史哉・下山祐樹ら好タレントも多い。高総体制覇は十分に射程内だ。

【波乱の主役となりそうな3校】
4強に次いで、大会で波乱を起こしそうなのが九州文化学園・海星・南山といったところか。

伝統校、海星。今年は久々に強い海星が見られそうだ。

「今年の海星は強い」。対戦した県内チームの多くがそう口をそろえる。1・2年生に粒がそろっており、特に塩塚駿介・小倉遥翔・髙西蒼太らはすでに主力に成長。彼らに2年時から10番を背負う橋本翔生・突破力のある馬氷耀ら3年生が絡み、攻守で切り替えの早いサッカーを展開する。

 

立ち上がりに受けに回る癖はあるが、サイドにタレントが多い南山

南山はリーグ戦でも乱調気味の試合を見せているが、山口琉偉・山村和雄といったアタッカーの個は高い。1年生ながらFW浦大世もスピードがあり、その突破は鋭い。守備に課題はあるものの、攻撃陣がかみ合って打ち合いの試合展開になれば波乱を起こす可能性はある。

ここ3年で着実に強豪となりつつある九州文化

県北の新鋭校として急速に台頭してきた九州文化学園は大会のダークホースだ。現在長崎県リーグ2部B所属だが、県内関係者は「ベスト8クラスの実力は十分にある」と警戒を強める。エースの離脱などもあったが、カンミンギュ・宮本真大・中村瑛俊ら九文の一期生にとっては最終学年。大仕事を狙っているのは間違いない。

【大会を制するのは??】

昨年は長崎総合科学大学附属高校が長崎日大を決勝戦で破り優勝した県高総体

今大会は有力校が一ブロックに固まらずばらけた。国見は順当なら準々決勝までは比較的楽な組み合わせだが、準決勝で県央の名門高である諫早商業と九州文化の勝者と対戦する可能性が高い。そこからは一気に大会の難度が上がるため、準決勝以降の戦いが重要となりそうだ。

日大は準々決勝から鎮西学院という難敵との対戦が濃厚。鎮西は力のある選手もおり、波乱を起こす可能性を持つだけに厳しい試合となりそうだ。そこを勝ち抜けても島商という古豪との対戦が待つと予想される。最も早い段階からリスキーな勝負が続くブロックを勝ち抜くタフさが求められる。

創成館は比較的楽なブロックと言われているが、準決勝で今大会の台風の目となりそうな海星と激突が予想される。創成館の久留貴昭監督も海星戦を「一つの山」と位置付けており、対戦が実現すれば激戦となりそうだ。

長崎総大附属も準決勝までは比較的順当に勝ち進むと思われるが、このブロックでは初戦で南山と佐世保実業という有力校同士が初戦で激突する。こちらも大注目のカードだろう。

もちろんそれ以外の学校が波乱を起こす可能性は十分にある。多くの3年生にとって高校最後の大会となる高総体は全ての試合に波乱要素が詰まっているのだ。それだけに、今年も熱戦と悔いのないプレーを期待することにしよう。

reported by 藤原裕久

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