長崎サッカーマガジン「ViSta」

【ライターズコラム】クラブ17回目の創設日に、ダラダラと雑文で17年という月日を考える

2022年3月13日はV・ファーレン長崎にとって17回目の誕生日だ。

2005年シーズン終盤頃のV・ファーレン長崎メンバー・スタッフ

17年と言えば人間の年齢的には多感な時期である。何しろ銀杏BOYZ、私と同年代なら森高千里さん、ちょっとご年配な方には南沙織さんが歌ったヒット曲も、タイトルがそのものズバリ「17歳」となるほどだ。『多感of多感』、『KING of 多感』と言っても良い。V・ファーレン長崎というクラブも、そんな微妙な年代になったのだと思うと同時に、故・尾崎豊さんの「17歳の地図」的に社会に反発することなく、スクスクと育ったと感心する。

この17年の間にはいろんなことがあり、もう17年と思ったり、まだ17年と感じたり、短いような長いような不思議な感じだ。

2015年のクラブ創設10周年記念のOB戦。創設時からの30名近い選手が参加した

とは言え、発足時は純粋なサポーターだった身が、後に『V・ファーレン長崎支援会』や『Project Team V-ist』を立ち上げて、JFL時代の選手カードやJリーグ昇格記念本を作り、2015年にはクラブ創設10周年記念OB戦を企画・運営できた。ライターとしてもそろそろ引退かとチラつく年齢になったのだから、やはり長い時間が経ったのだなと思う。

設立時当時の選手やスタッフ、クラブ発足をスクープした長崎新聞の副島宏城記者など、今も変わらず連絡を取り、会ったり、食事したり、「何か一緒にやろうか」と話せたりしているのだから実にありがたい話である。

現在はU-18の原田武男監督はクラブ創設時に唯一のプロ選手としてプレーした

2005年というと、当時の日本の首相は小泉純一郎さんだ。このときの郵政改革や自民党圧勝などが与えた後の影響を考えるともはや歴史の領域である。名古屋では『愛・地球博』が開催され、これにあわせてセントレア空港も開港した。年末にはAKB48がデビューしている。

6月には日本代表が最終予選を勝ち抜けてドイツワールドカップへの出場を決定。この1年後のドイツワールドカップの予選グループ最終戦となった日本対ブラジルで、ゴールを決めたのが昨年に現役を引退した玉田圭司さんだ。ゴールが決まった瞬間、ブラジルゴール裏最前列ど真ん中というハイパーアウェイな現地に一人いた私は、周囲の空気を無視して歓喜したのも懐かしい。

2006年ドイツW杯の日本対ブラジルが開催されたドルトムントのベストファーレン・スタジアム

JリーグではJ1でガンバ大阪が優勝し、J2では京都サンガが優勝。この年にJ2へ降格したヴィッセル神戸は、翌年に現長崎監督の松田浩監督が途中就任してJ1に昇格している。昨日の試合の対戦相手だった大分トリニータはJ1を戦っており、当時の主将は長崎でも監督を務めた吉田孝行前監督だった。またフクダ電子アリーナの初ゲームが開催された年でもある。今はそこで長崎のクラブがリーグ戦を戦うのだからすごい時代だ。

昨日の対戦相手である大分は2005年のJ1で11位だった

そんな歴史の中でHUNTER×HUNTERは、この頃がちょうどキメラアント編で、『王』が誕生したあたりだというのが微笑ましい。

ついでに言うと、2005年の11月に耐震強度偽装事件があり、連日ワイドショーで「1級建築士」のニュースが流れていた影響で、当時5歳だった長女は「お金持ちイコール建築士」と刷り込まれてしまい、建築士になるのが将来の夢になった。その娘は現在、大阪大学の工学部で一級建築士への道を着実に進んでいる。そして幼い頃から「高校を卒業したら東京へ行く」と、野望溢れるロックスターみたいなことを言っていた下の娘も先日に高校を卒業。結局は姉を慕って大阪へ進学することになり、クラブ17回目の誕生日前日に巣立っていった。

おかげで娘たちがいなくなった我が家である。
耐震強度偽装事件の建築士には「お前のせいだ!、娘を帰せ!!」と言いたい。8時間くらいガチ説教をして、握撃かましてワン・フォー・オール 1,000,000% デラウェア・デトロイト スマッシュを叩き込みたい気分だ。

取り乱して話が逸れた。

つまり、17年とは子どもが成長するのに十分なほどの時間ということである。それほど長くクラブ見守ってこれたのは実に幸せだ。17年の間にいろんなことがあって、心が折れそうになったりもしたが、同じように楽しいことも、嬉しいこともたくさんあった。何より17年前と同じようにクラブの近くにいられること、当時の人たちとつながっていることは私の宝である。

これからも、これまでと同様に今年も17歳のV・ファーレン長崎を見て、その後の成長を見ることができれば十分だ。それだけで生きている価値もあろうというものだ。

好きなんだもの♪
私は今、生きている♪

今年の4月に久しぶりにツアーで長崎にやってくる森高千里さんの少し鼻にかかった美声を聴きながら、私はそんなことを17回目の3月13日に考えている。

reported by 藤原裕久

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