【きちルポ】何兎を追うのが最適解?マルチタスクのあり方について考察した②
▼ タスクをマルチ化しすぎると?
前回のコラムではマルチタスクをテーマにしたが、ようは何事もやりすぎは良くないというところに話は落ち着く。そしてこれは最近僕に起こったど真ん中の体験と見事に合致する。
8月の下旬、日本からドイツへ戻った僕は、デュッセルドルフとケルンを中心に5日間、その後オランダのデンハーグを拠点に3日間、グラスルーツサッカー指導者研修のアテンドとして回っていたわけだ。この業務だけで相当の仕事量だし、気をつけなければならないことが山積みだ。
ドイツにいる間はそれこそ参加者の皆さんが少しでも実り多き研修となるようにと気を配り続けていたし、スケジュールが少しでも円滑に進むように絶えず様々な情報を処理しながらアテンドをしていた。
で、オランダに渡ると僕のほかに倉本和昌さんが加わってくれる。
そのことで僕はかなり安心したし、多くは倉本さんにお任せして僕はサポートとしての役割をというところへ気持ちを落ち着けていた。
でもどうやら、ここでの脳内調整が僕の中で少しうまくいっていなかったのかもしれない。
オランダ2日目のアムステルダムではアヤックスのホームスタジアムであるヨハン・クライフアレーナをみんなで回り、お昼ご飯を一緒に取った後、それぞれフリータイムをとることに。
僕はそろそろ再始動する所属クラブ・ホッホドルフの準備やスケジュールの調整、直前に迫った確定申告といった事務作業に加え、8月お休み状態だった執筆を再開するために、街中のカフェでパソコンを開いてお仕事をしていた。かなり集中してはかどりを見せたことでちょっとウキウキ状態にもなっていたかも。
夕方、みんなとアムステルダム中央駅で合流し、オランダ2部リーグのAZアルクマールU23の試合観戦に地下鉄とバスを乗り継いで向かっていた。優雅な風景が流れる中、バスは目的の停留所につく、まさにその瞬間だ。
「あれ、僕のかばんは?」
パソコンを入れていたバックが姿を消していたのだ。
慌てて探すけど置いてあったはずの場所にも、ひょっとしたらここかもというところにも、どこにもない。くまなく探したけどバスの中には見当たらない。
とりあえず一度バスを降り、記憶をさかのぼる。誰かが「カフェに忘れたんじゃ?」「カバン持ってなかった気がしますよ」というふうに言っていたので、まずは僕は先ほど仕事をしていたカフェに戻り、同時にバス会社の落とし物届けセンターへ問い合わせることにした。試合観戦に向かうみなさんを笑顔で見送ったつもりだけど、間違いなく引きつっていたことだろう。
あぅ、やってもうた…。
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