中野吉之伴フッスバルラボ

【現地取材】浦和レッズに新加入した二田理央とは何者か?現地インタビューからその選手像を紐解く③

▼ オーストリアでの充実した日々

プロサッカー選手というのは一つの職業だ。

お金を払ってスタジアムに足を運ぶファンに対してエンターテインメントを提供する者として、ハイレベルなスキルとフィジカル能力、サッカーへの深い理解とゲームインテリジェンス、プロフェッショナルな心構えと気概、互いの力を引き出しあうコミュニケーション、クラブ、チーム、ファンの思いを体現しようというアイデンティティが求められる。メディアへの対応だって重要な要素。

また欧州ではよくサッカーはボールゲームではなく、ボードゲームといわれるが、チームスポーツとしてグループの中でどのように自身の特徴をチームの勝利のために出すべきかがわからないと、最後のところでなかなかうまくハマれない。

オンザピッチだけではなく、オフザピッチにおいても《プロフェッショナルさ》が要求されるからこそ、選手はあらゆることで自分を律せなければならない。とはいえそれにつぶされてしまったら、パフォーマンスを発揮することはできないのだから、やはりどこかで最適なバランスを見出し、どこかで十分にリラックスできる時間と空間を作り出すことが大切なのだ。

世間からすると夢のような世界でやり続けるために、僕らが想像するよりももっとずっと厳しさと戦い続けている選手たち。だからこそ、その源流として心の中に《サッカーへの愛》があることは極めて重要だと思われる。

どれだけの厳しさ、苦しさがあっても、サッカーの楽しさを感じられているか、またもし感じられなくなっているときにどのように自分をかじ取りしてそこへ戻ることができるのかが、その選手の将来を左右するだけの大きな要素となる。

オーストリアで自身と向き合い続け、大きな成長を遂げ二田理央にも尋ねたことがある。

「オーストリアでのサッカーは楽しいですか?」、と。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

「楽しいっすね。楽しい。めちゃくちゃ充実してるんで本当に本当に、時間が経つのが早いです。怪我から復帰してからもそう感じていて、本当にこないだ復帰したばかりにもうシーズン終わっちゃうの?みたいな感覚がありますね」

――――練習時間も基本90分だと思いますが、あっという間に過ぎてしまう感じ?
「すぐ過ぎちゃいます。今まで練習を適当にやってたわけじゃないんですけど、練習に向き合う姿勢が自分の中でちょっと変わったなって。より本気になったというか。今までも本気だったつもりだったんすけど、もう集中力が違う。今までより『練習をするって何なのか』というのと向き合う気持ちが変わったのかなって思いますね」

――――覚悟みたいなものが芽生えた?
「自分はそんなにめちゃくちゃ上手いとか、すごいって言われるような選手じゃない。だからどうにか成長しないといけないって思っています。だからもう練習から本当に本気で真剣に取り組むようになったのかな。今までだって本気のつもりだったんですけど、環境も変わって、もっとできるのかなっていう気持ちも芽生えて。今まで何していたんだろうって思う時もあります」

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