中野吉之伴フッスバルラボ

【きち日記】ユーロ編③オランダを凌駕したオーストリア。だがこれは決して偶然などではないのだ

▼ オーストリア、グループ首位で突破

フランス、オランダと同組だったオーストリアがグループ首位で決勝トーナメント進出を果たしたことに、世間からは驚きの声が上がっている。

でも僕は別に《奇跡》とか、《波乱》とは思っていない。大会前からオーストリアをダークホースとして推していたくらいだ。

寄稿させてもらったワールドサッカーダイジェストの戦術ガイドではオーストリアも担当。一部を引用してみる。

「智将ラルフ・ラングニックが鍛え上げたチームは、あらゆる局面にも対応できるほど戦術浸透が進んでいる
「ラングニックの代表残留表明も大きな追い風になる。バイエルンの後任監督の誘いを断り、代表への忠誠心を見せたことでチームはさらにまとまりを見せている。今大会の台風の目となるか」

代表チームとクラブチームは違うというのが難しさであり、面白さでもある。それぞれの所属クラブごとに特徴があり、カラーがある。違いがあり、かみ合いにくさがある中で、それを調整し、修正するための時間がほとんどないというスケジュールで試合に挑まなければならない。

だからチーム作りのアプローチにも当然違いが出る

クラブチームは志向するサッカーを実践するために、完成度の高いチームを作り上げることが一つの目標になるのに対し、代表チームは試合や練習を重ねながら自分達でそのイメージを重ね合わせていくプロセスがより重要になる。だからこそ、数年間にわたって主軸や戦い方がブレない国は大崩れせず、各大会でコンスタントに好成績を残すことができる。

その点でオーストリアには大きな利点がある。

他の代表監督が自身のサッカーを体現するために必要な人材とその起用法を探り、試し、築き上げなければならないのに対し、ラングニックは探ったり試したりする必要がほとんどないところからスタートを切れている。

なぜか。

オーストリアサッカー界からラングニックがイメージするサッカーを体現できる選手が生まれてくるための礎を作ったのが、ほかならぬラングニック自身だったからだ。

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