中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】欧州選手権が始まった/愛されて5周年、フライブルクのレンタサイクル「フレロ」の話

こんにちは!欧州選手権がいよいよ始まったここドイツから、日常コラムゆきラボをお届けします。

上の写真は先日水曜日に行われたドイツ対ハンガリーの試合中、夕方19時くらいのフライブルク市内の風景です。通りが空っぽになるほどではないけれど、普段のこの時間帯にしては、やや人が少ないのかな、という印象。平日の18時試合開始というのは、まだ仕事が終わっていないか、終わってもまだ家に帰りついていない人も多そうな時間帯です。そこはまだグループリーグの途中ですから、仕事を早退してまでの観戦はまだしなくてもいいかな、という声も聞かれます。これが決勝トーナメントに入ると、みんな目の色が変わるのかもしれませんが。

フライブルク市内のショッピングモール。歴代の欧州選手権を振り返る特設コーナー

さて、時間を少し遡ります。6月14日、開幕を飾るドイツ対スコットランド戦の日。朝からラジオでは歴代の欧州選手権やワールドカップのテーマソングが流れてきます。公式ソングではなかったですが、2006年ワールドカップ決勝戦のベルリンにシャキーラが登場して”Hips Don´t Lie”を披露したのは記憶に鮮明なところ。彼女の”Whenever, Wherever”や”O-Zoneの”Dragostea Din Tei”など、2006年前後にヒットしていた歌のカバーやマッシュアップをこの頃はよく耳にします。2006年のワールドカップから18年分の時間が流れるってそういうことなんだよな、としみじみしてしまいます。

O-Zoneって誰だっけ…?って思ったあなた。昔Flash動画が猛烈にバズッた「恋のマイアヒ」の人たちですよ!

白アスパラのバター醤油かけとか、蒸したトウモロコシに粗塩を振ったのとか

ティーンエイジャーの息子2人はそれぞれ友達宅で観る(そしてそのまま泊まってくる)といって出かけてしまったため、それなら大人2人で飲み会モードにしようかと、適当におつまみを何品か並べて21時を迎えました。こういうとき、子どもが手を離れて、また夫婦2人暮らしに戻るステージが数年先にやってくるんだな、と実感します。

テレビをつけてまず驚いたのは、ハンブルク、ベルリン、フランクフルト、そしてミュンヘンといった大都市圏でパブリックビューイング会場を埋め尽くしたサッカーファンの姿。「意外とみんなパブリックビューイングには行かないかもしれない」という事前のアンケートはどこへやらという賑わいぶりです。それとも、想定の何割か少なめだったとしてもこの人数なんでしょうか(笑)。

もちろん、ミュンヘンのアリアンツ・アレーナの客席も、チケットを勝ち取ったドイツサポーター・スコットランドサポーターがぎっしりです。VIP席には両国の重鎮がずらり。こういう国際試合の光景を本当に久しぶりに見ました。スタンドを埋める観客が色分けされた紙を掲げています。定番中の定番、究極にシンプルとも言えるコレオグラフィーですが、「生身の人間がたくさん集まって一斉にきれいな色の紙を掲げる」これを超える演出というのもなかなかないのではないでしょうか。終わったあとに使った紙をみんなが紙飛行機にして飛ばしまくる風景すら、なんだか尊い。

ユルゲン・クリンスマン元ドイツ代表監督が登場したのも、2006年W杯の熱狂を再び!という演出なのかなと思いましたが、それだけではなくて彼は1996年の欧州選手権でドイツが優勝したときのキャプテンだったんですね。ところでクリンスマンとともに優勝杯を持って入場してきた小柄な女性は誰だろう?と思っていたところへ、場内アナウンスが流れました。ハイジ・ベッケンバウアー。今年の1月に亡くなった“皇帝”ベッケンバウアーのパートナーです。

イメージ: https://www.photo-ac.com/

2006年W杯の組織委員長だったベッケンバウアー。もしも元気だったら、今回の会場にも必ず顔を見せていたでしょう。あれから18年経った自国開催の大会。一緒に観たかっただろうな。一緒にこの場にいたかっただろうな。ベッケンバウアーを偲ぶ映像が流れ、短い追悼セレモニーが終わり、ピッチを去る前に空に向かって投げキッスをしていた夫人の姿に、目頭が熱くなりました。きっと空の上から見ていてくれますように。

さて、ゆきラボ後半ではずっと温めていたドイツのレンタサイクル事情について書きます。

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