中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】選挙終了。極右が台頭する中、リベラルを守ったフライブルク/欧州選手権のパブリックビューイング、行く?行かない?

こんにちは!欧州選手権開催直前のドイツから、今週も日常コラム「ゆきラボ」をお届けします。

本日のメインテーマである欧州選手権の話に入る前に、先日9日に投開票が行われた欧州議会選挙と、地方議会選挙について少し触れておきたいと思います。

日本でも報道されているかもしれませんが、まず今回の欧州議会選挙では、ドイツでも、お隣のフランスやベルギーでも、極右政党が大きく勢力を伸ばしました。ドイツの極右ポピュリスト政党として知られる「ドイツのための選択肢(AfD)」は、保守派のCDUに次いで得票率15.9%で国内2位に。ショルツ首相のSPDの得票率は13.9%で3位でした。

AfDは難民や移民に対して排他的な政策を掲げているほか、ドイツやEUがウクライナを支援することや、脱炭素政策にも否定的です。それよりはロシアと交渉して戦争の早期解決をはかり、ロシア産のガスや石油などが安価に供給されることで、ドイツの経済状況を改善するべきだと主張しています。

私たちが今暮らしているのは、本当に将来安心して暮らせる社会なのかどうか。ドイツの有権者は、経済面でも外交面でも、大きな不安を抱えています。「将来の気候変動対策よりも、まず毎日の安全安心な暮らし、そして目下の戦争が早期に終わること」という言葉は、とても魅力的に聞こえたのかもしれません。AfDには決して賛同できませんが、AfDに投票したくなる人の心理は理解できるような気がしています。

フライブルクの私立の学校そばに掲げられた「若者の未来のために、気候変動対策よりも、まず環境の整った学校を!」というAfDのポスターを見て、私も一瞬考えてしまいました。子どもたちは2人とも公立の学校に通っていて、それぞれ充実した学校生活を送っていますが、設備やカリキュラムの点では、いくら財政が厳しいからといって、もう少しなんとかならないのかな…と思うことがあるのも事実なんですよね。ましてや予算が潤沢な私立の学校とは比べ物になりません。

そんな中、自他ともに認めるリベラルな都市・フライブルクの市議会選挙では、環境政策を第一に掲げる緑の党が23.8%の得票率で首位を堅持。欧州議会で大幅に議席を減らした緑の党にとっては希望の残る結果だったと思います。AfDの得票率は4.5%でわずか2議席。これは今回の地方議会選挙では最も少ない数字で、フライブルクに住む一移民である私としては、ほっとできる結果でした。

参考:Badische Zeitung 選挙結果

なお、以前ご紹介した市民団体”Wahlkreis 100%”は、選挙権のない外国籍の市民の声を政策に反映させるための模擬投票を実施しました。もちろん、投開票の結果には公的な影響力はありませんが、投票に行けなかった人たちが何を考え、何を支持し、何にNOと言っているのかを示すのに、決して無視できない指標になっていると思います。残念ながら私は選挙当日も期日前投票も予定が合わずに投票できませんでしたが、次回はちゃんと日程を調べて模擬投票に行こう!と今から決めています。

後半は、欧州選手権を前に実施された世論調査「パブリックビューイング、行く?行かない?」についてお伝えします。

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