中野吉之伴フッスバルラボ

【年代別TR】サッカーはチームスポーツ。みんなでプレーし合う感覚をつかむためのトレーニングを幼少期から大事にしたい

3月14日から23日まで一時帰国。今回はプライベートの用事もいくつかあったし、滞在1週間ちょっとと短期だったので、イベントは少なめにさせていただいた。

日本サッカー指導者協会でのWEB講習会をはじめ、和歌山でクリニックと保護者向けの談話、京都で講習会、東京で湯浅健二さんと対談、つくば市東光台でクリニック、指導者講習会、部活地域移行に関するミーティング参加、そして千葉県東金でサッカークリニック兼指導者講習会を開催。

いくつかの活動を振り返ってみたいと思う。

▼ 和歌山編

スプラウトスポーツ和歌山さんのジュニアサッカーにお邪魔してのトレーニング。

・クラブからのお願い

「1人1人がまだバラバラで、ゲームをすると周りの仲間を見ないで、相手DFが何人いてもドリブルで突っ込んでいきます。

パスをするとすぐに奪われてしまう場面が多いので、結果的にパスより自分でドリブルする方がボールを長く触っていられるということもあるのかと。

最近はパスができるようにキックや目の前の相手を避けてぶつからないドリブル、仲間にパスを繋げるまでの部分を低学年、高学年と近い年代のグループで練習しています」

【トレーニング構成】
1人でプレーすることが多いのなら、仲間とプレーする感触をたくさん経験できる内容がいいので、アップからグループで取り組めるものを準備。

1:コーン倒しゲーム


・3人一組
・大き目のコーンを2-3個
・DF役の子がコーンを守る
・オフェンス役の3人がボールを回しながらコーンを狙う
・ボールは膝より下の高さだけOK
・最初は手で。慣れてきたら足で。

DFの子がうまくステップしながらボールの正面に立てているかどうか。それに対してボールをうまく回しながら、DF役の子が守り切れない状況を作れるかどうか。相手の背中を取るような駆け引きがみんなでできているかどうか。

コーンまでの距離はマーカーをおいてこちらで設定してもいいし、子どもたちの自由にさせてもいい。近いからあてやすいわけでもパスを通しやすい訳でもない。適切な距離感を自分でつかむというのも大切。

コーンにボールをあてたい意欲が強すぎると、一人でボールをもって1対1の状況でなんとかしようとしてしまう。ボールをもって何秒も一人でプレー。そうすると周りの子は手持無沙汰。流れもよくないまま。

ある程度慣れたらさっとストップをかけて、子どもたちを呼んで説明。

「せっかく味方がいるのに、1人で何とかしようとしているだけだともったいないよね。どうやったら味方と協力して、DFがコーンを守れないようなことができるだろう?」

そんな風に問いかけてみると、子どもたちがいろいろ答えてくれる。

「素早くパスをする」
「パスするふりをしてみる」

そうやってやることをちょっとずつイメージしてもらう。

手でパスを回して協力関係ができてきたら、今度は足でパスを回しながらコーンを狙う。パスをもらうための距離感や角度作りが今度はもっと大事になってくる。

「立ち止まったままおんなじところから狙おうとすると相手に守られちゃうよね。味方にパスを通すためには相手とどのくらい離れたところでもらうといいんだろうね?DFは足を出してカットすることもできるよね?」

パス回しがうまくなってくるグループがどんどん出てくる。でも今度はパスばかりに気が入って、コーンを狙いきれない。

「パスをしながら、ここは!という時にコーンを狙えるためにはどんな体の向きが必要かな?横向いたり、背中を向けていたら狙えないよね?いつでもコーンを狙えて、それでいてパスもすぐできるような身体の向きができるといいよね?」

パスが出てくるところ、パスをもらう位置、コーンを狙いながらも、次のパスの選択肢も考えていく。

できる子、やろうとしているけどまだうまくいかない子、何となくやっている子。子どもたちのタイプや成熟具合でいろいろ違う。ちょっとずつ子供たちのプレースピードが上がっていく。すごくいい形からコーンを狙うプレーも出てくる。

遊びの中で子どもたちが自分達で答えを探し出すような雰囲気って本当に大事。

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