【発表】きみの、あなたの《ホケツ》話①スポーツで大事なのは《好き》か《好きじゃないか》だけ。アメフトで学んだスポーツの本質
▼ きみの、あなたの《ホケツ》話①
拙著「3年間ホケツだった僕がドイツでサッカー指導者になった話」が重版出来となったことを記念して、読者の方々に「僕の、私の《ホケツ》話」を募集するという企画を12月に行った。いくつかご投稿いただいた中、2作品を優秀作品としてこちらで選出。《ドイツのお菓子セット》をプレゼントさせてもらった。
参加者の方からは「こうした読者参加型の企画は面白いので、今後もぜひやってほしい」という声もいただいたので、ぜひ次回も皆さんが参加できる企画を考えてみたいと思う。12月から1月にかけての一時帰国では、東京で《フッスバルラボ忘年会》として、ミニサッカー大会とレンタルルームでの忘年会を開催。特別ゲストとして《宇都宮徹壱》さんと《湯浅健二》さんにも足を運んでいただき、会員の方々と交流が取れたのはとても素敵だった。
あれもこれもと手を出しすぎると方向性もつながりも逆に薄れてしまうけど、会員の皆さんからの声に耳を傾けながら、フッスバルラボとしてできることをこれからも追い続けていきたい。ここはみんなで作り上げていくプラットホームであってほしいのだ。
さて、前述したように《ホケツ話》優秀2作品を今回と次回とでご紹介させていただく。
《ホケツ》と一言で片づけてしまいがちだけど、そこにはいろんなストーリーがある。僕には僕の話があったように、みなさんにはみなさんの話がある。ほろ苦かったり、時に勇気が湧いてきたり。そうした一人一人の物語に目を向け、耳を傾け、心を通わす。それがコミュニケーションの第一歩。
前編の今回は大阪府熊取でサッカー指導者をされている前川敏也さん。初めてお会いしたのは2020年1月に和歌山でサッカークリニックと講演会を開催した時のこと。主催クラブのスプラウト和歌山さんと交流があった前川さんが足を運んでくれ、それ以来交流を深めている。コロナ禍が明けた2022年8月には熊取でジュニア年代対象のサッカークリニック開催をサポートしてもらった。昨年には池上正さん主催の指導者ドイツ研修ツアーにも参加されるなど、その行動力には素晴らしいものがある。
ではそんな前川さんの《ホケツ話》を覗いてみよう。
▼ レギュラーになるためにスポーツを選んだ過去
実は今まで一度も《ホケツ》になったことがありません。
そんな私ですが、中野さんの著書「3年間ホケツだった僕がドイツで指導者になった話」には心から共感できたのです。
そのきっかけを皆さんにお話したいと思います。
我が家は野球一家でした。こどもの頃から父親とキャッチボールをしたり、父親が監督を務める草野球チームの試合に連れて行ってもらう中で、野球に親しむことができました。双子の兄がいたので普段から練習相手にも恵まれたこともあり、小学生のころは上手い方だったと思います。その頃の遊びというと野球がほとんどで、仲間と集まってはいつも野球をしてましたし、地域のソフトボールチームでも中心選手でした。
中学生になり好きな野球部にも入り、ここでも同学年の中ではレギュラーとして試合出場ができました。通っていた学校が中・高一貫校だったため、高校でも自然な流れで野球部でプレーをしていました。
しかし、転機が大学入学時に訪れました。
私はそれまでやっていた野球部には入部せず、アメリカンフットボール部に入部したのです。
その原因はこうです。
もちろん野球部に入部することも考えたのですが、私が所属していた高校野球部というのはいつも1~2回戦で敗れる弱小チーム。レギュラーだったとはいえ、そんな経歴の私が大学野球部に入ってレギュラーになれるとは到底思えなかったのです。
当時、私にとって一番好きなで、一番得意なスポーツが野球でしたが、「大学野球部ではどんなにがんばってもレギュラーにはなれないな」という考えが頭をよぎった瞬間、野球部に入部することを諦めました。《ホケツ》を怖がったのです。「レギュラーがよく、ホケツがだめ」と私がはっきり感じた瞬間でした。
スポーツ好きだった私は「がんばったらレギュラーになれそうなスポーツを選ぼう」と考え、アメリカンフットボールにチャレンジしました。
「アメリカンフットボールなら攻撃・守備と合計22個のポジションがあります。そのうえ、ほとんどの選手は未経験者なので、自分にもチャンスはたくさんある」
そんなふうに考えていたことを思い出します。入部後は部員数が少ないチームだったこともあり、幸い1年生の秋リーグからずっと4年間公式戦に出場することができました。
ただこの経験からだけでは中野さんの「3年間ホケツだった僕がドイツで指導者になった話」にはまったく共感できません。
もう一つの転機がありました。
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