中野吉之伴フッスバルラボ

【TR論】トレーニングのクオリティはどんなトレーニングをしたかではない。つながりをどのように生み出すのかの視点は欠かせない

▼ トレーニングに大切な要素はメニュー内容?

日本人指導者はトレーニングをメニュー通りにすることへのこだわりが強い人が多いかもしれない。人によってはあまりに強すぎる傾向さえある。

もちろんすべての日本人指導者が同じように考えているわけではないが、でもドイツにいる僕が日本から研修で来られる日本人指導者の通訳やコーディネーターとして帯同していると、そうしたシーンをよく目にすることは少なくない。

一番よく聞かれるのが、「これ、ピッチサイズは何m×何mですか?」という質問。

正直な心情を吐露すれば、逆に質問をすぐ返したくなるし、実際に返すことも少なくない。

「え?なんでそれを聞きたいんですか?」って。

誰がどのようにやるべきトレーニングかでピッチサイズの形やゴールの位置、プレーする人数は変わってくる。そしてトレーニングの目的はそのピッチサイズとルール通りにそのトレーニングをすることじゃない。

だから例えば「バルセロナで、バイエルンでこういう練習をやっていますよ」というのを見て、それをそのまんま試して「おお、これはいいね」とか、「これはちょっと違うな」というのでは、判断があまりに早急すぎる。

そもそもの前提条件が違うんだから、乱暴な言い方をしたら合うわけがないレベルもカテゴリーも集まってくる選手のサッカー観も、それを指導する指導者の解釈も全部全然違うのだから。

選手が成長するのに必要な要素から設定されたものだから、そのトレーニングが意味あるものになる。対象の選手の成熟度や成長段階が異なれば、おのずとトレーニング設計だって変わってくる。

(残り 2668文字/全文: 3332文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ