中野吉之伴フッスバルラボ

【挑戦】少しずつ着実に成長するU13。互いが互いのためにプレーできる時の力を知ってほしいのだ

▼ サッカーはチームスポーツという原点

SVホッホドルフDユース(U12-13)の今シーズンは成長と常に向き合えるシーズンだったと思う。一つ一つの試合に必ず何かしらの学びがあった。選手にとっても、僕ら指導者にとっても。

3月下旬、フライブルガーFCとのリーグ戦を僕は忘れることはないだろう。読者の皆さんはご存じのことかと思われるが、フライブルガーFCは僕の古巣クラブ。いい形での別離ではなかったし、いまも心の奥底には受け止めきれない哀しみと憤りが残っている。

頭の中ではすでに整理がついているし、気にしないようにはしている。でも僕も一人の人間で、感情を完全にコントロールすることなんてできない。だからと言って負の感情を表に出したりなんかもしたくない。

ピッチ上ではサッカーに向き合う。それが僕の思いであり、そして同時に救いでもある。サッカーに集中して取り組んでいる間はそうした感情はどこかに飛んでいくから。いつも通り情熱的に、いつも通り冷静に、いつも通りフェアに、いつも通り子どもたちの伴走者として立つべき場所に立つ。

地元の強豪クラブとして、地域のサッカーがうまい子どもたちが集まるフライブルガーFCは選抜クラブの立ち位置。僕らは地元の子どもを中心に、ここでサッカーをしたい子を受け入れるグラスルーツクラブだ。

練習時間は週に2回90分ずつ。でもチームとしてのまとまりはまるで引けを取らないどころか、間違いなく自分達の方が上だと確信している。

サッカーがうまくなるためだけに取り組むことが、子供たちの成長に直結するわけではない。技術レベルが上がることがサッカーがうまくなることにつながるわけではない。フィジカルコンタクトに強くなることで競り合いに強くなるわけではない。

サッカーはチームスポーツだ。互いにどのように関わり合い、サポートし合い、𠮟咤激励し合い、チームとしてどのようにスペースを攻略し、ボールを運び、ボールをめぐって主導権を握るかが重要なスポーツだ。

個々の力量では勝てなくてもチームとして戦えば互角以上の戦いに持ち込むことができる。それがサッカーの素晴らしさで、それがわからないとサッカーがうまくなったりはしないと思うのだ。

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