中野吉之伴フッスバルラボ

【現地取材】川辺駿、瀬古歩夢、原輝騎の日本人トリオが活躍中。グラスホッパーが所属するスイスリーグってどんなリーグ?

▼ グラスホッパーの日本人3選手に注目

ヨーロッパサッカーというと、まずイングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、そしてフランス、ポルトガル、オランダ、ベルギーといった国が取り上げられる。様々な国の様々なリーグにそれぞれの歴史と特徴があるわけだが、それはこれ以外のヨーロッパ諸国でも同様だ。そして、そうした国々にも日々奮闘している日本人選手がいるのだ。

今季スイスリーグのグラスホッパー・チューリヒで日本人選手が3人プレーをしている。川辺駿、瀬古歩夢、そして清水エスパルスからレンタル移籍中の原輝騎だ。日本ではなかなかスイスリーグの話は入ってこない。果たして彼らはどんな環境で戦っているのだろう。

4月半ば、取材で訪れたのはグラスホッパーが9位シオンをホームに迎えた一戦だ。チューリヒ中央駅からトラムを乗り継いで10分ほどと調べてあったが、試合開始までまだまだ時間があったので歩いて行ってみることにした。スイス有数の都市であるチューリッヒのきれいなたたずまいの街並みをしばらく歩いていくと住宅街となり、街角ではおしゃれなカフェで楽しそうに談話している地元の人たちの姿がある。

30分ほど歩いていると急に視界が開けてきた。ブラウンで丸みを帯びた屋根で覆われた競技場。ここがグラスホッパーの本拠レッツィグランドスタジアムだ。

収容2万6000人のスタジアムで、これが満員となったら迫力ある劇場となるはずだろうが、ただグラスホッパーにはそこまでの観客動員力がない。スイス全国の人口で人口870万人で、リーグの1部1試合平均が約13000人。首位のヤングボーイズで約28000人でトップを走り、これをバーゼルの約21000人が追う。そしてグラスホッパーは10クラブ中8位となる約8000人だ。

この日は9位シオンが相手ということで4500人ほど。ゴール裏には両軍の熱狂的なファンがいるものの、多くはのんびりと試合観戦に来ているファンのようだ。全然ぎすぎすしたような感じがない。罵声がほとんど聞こえないし、ゴールが決まった時もスタジアムが揺れる!なんてほど歓声がこだましない。子どもがホットドックを食べて、おじいちゃんがニコニコしているのが何ともほほえましい。

それにしてもだ。クラブ名がグラスホッパーだからバッタがイメージキャラクターというのは理解できるが、まさかバッタそのものの造形から選手が入場してくるとは思いもしなかった。デフォルメ化してかわいいキャラクターという発想はなかったのだろうか。巨大なバッタの入場ゲートから賑やかな音楽で登場していたら、そこで行われるのがサッカーではなくて、プロレスであっても驚かない。

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