中野吉之伴フッスバルラボ

【ゆきラボ】分数、得意でしたか?子どもの勉強に付き合いながらドイツの教育を考える

こんにちは。ドイツの日常コラム「ゆきラボ」です。

先日、家族4人で『すずめの戸締まり』を観に行ってきました。日本では昨秋公開でしたが、ドイツは今月に入ってようやく上映されるようになりました。私たち4人、もともと頻繁に映画館に行くほうではない上に、好みもバラバラなので、家族揃って同じ映画を観に行くのは本当に久しぶり。記憶をたどってみると、最後にみんなで行ったのは2019年の『名探偵ピカチュウ』でした。ずいぶん前です…

ポケモンを中心に生活が回っていた時期がうちにもありました

その後はコロナで映画館が閉まっていた時期が長く、営業が再開されてみると、子どもたちはいつの間にか子ども同士で映画を観に行ける年齢になっており、しばらく4人揃って映画館に行く機会がありませんでした。

『名探偵ピカチュウ』は、大人も子どもも楽しめるファミリー映画でしたが、『すずめの戸締まり』はストーリーも設定ももう少し複雑ですし、ドイツでは12歳未満は映画館で観ることができません。4人で観る映画が、ファミリー映画からちょっと大人向けの映画になったという点で、子どもたちの成長を感じた映画鑑賞でもありました。

しばらく行かなかった間に、座席が広くなったり、フットレストがついたりして、とても快適になっていました

ドイツ語吹き替え上映と、日本語オリジナル音声・ドイツ語字幕版の上映があり、私たちは日本語音声で観たんですが、次男は聞き慣れない日本の方言がちょっとわからなかったらしく、ところどころ字幕の助けを借りていたようです。

この映画、観る人が何歳か、どこで生まれ育ったのかでずいぶん受け止め方が違うのではないかと思います。基本的に、ドイツには地震らしい地震はほとんど起こらないと言っていいので、フライブルクの観客の大半は、地震というもののリアルな怖さを多分知りません。スマホから緊急地震速報が流れた経験もありません。会場内のリアクションからして、あの音が鳴ったときの、心臓をぎゅっと掴まれるような感覚は、ドイツの観客にはちょっと解ってもらいづらいのかな…と感じました。

そして、2011年3月11日のことや、その後のことを記憶しているかどうか、ということもあります。当時、食い入るようにドイツで報道を見つめていた私や夫にとっては、言葉を失うような描写がいくつもありました。一方ですずめと同年代の長男と、2010年生まれの次男には当時の記憶がありません。震災の様子を伝える動画や写真は、ある時期までなるべく子どもに見せないようにもしていました。私や夫にとっては深く刺さる表現が、残念ながら届かない部分もあったのかもしれません。あの風景が何を表していたのか、あの場面に描かれていたものは何だったのか、いつか少しずつでも触れてほしいなと思っています。

さて後半はがらりと話題を変えて、算数の話題です。

(残り 2234文字/全文: 3411文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ