【ゆきラボ】やっと戻ってきた春のカーニバル
こんにちは!先週のゆきラボ、急にお休みしてしまい申し訳ありません。子どもと私とで揃って体調を崩しており、更新できませんでした。
更新できなかった間に起こったトピックといえば、やはりトルコ・シリアで起こった大地震に触れないわけにはいきません。日に日に膨れ上がる犠牲者の数や、倒壊した建物のあまりの多さ、被災した人たちが置かれた状況の過酷さ。日々伝えられる現地の状況を見るたび言葉を失っています。
この件についてはまだ気持ちの整理がつかない部分も多いので、少し時間を置いてから、ドイツからの被災地支援の取り組みなど、ここから見えてきたものについて書いてみたいと思っています。
さて、今週の後半からドイツではファスナハト(カーニバル)の季節に入ります。パンデミック以来久しぶりの開催となるファスナハト。昨年は保育園や幼稚園、学校などでの小規模なファスナハトパーティーに限って開催されましたが、今年はいよいよ市街地での大規模なパレードも再開されます。
ようやくこの春を迎えるお祭りの季節が戻ってきた……と楽しみにしている人も多い一方で、このファスナハトを主催する側やパレードに参加する側にとっては、手放しでは喜べない厳しい現実もあります。
パレードの主役になるのは、地域や職場などを中心に結成される「ナーレンツンフト」という団体なのですが、コロナ禍を経て、団体の運営が経済的にも人手の面でも苦しくなってきているところもあるそうです。例えば、ファスナハトを象徴するユニークな衣装や小道具。ナーレンツンフトごとに伝統的に決められたものがあるのですが、職人さんが1着1着手作りするものですから、新調するにもお手入れするにもそれなりに値段がかかります。
木彫りの仮面に、色とりどりの鱗のような布を縫い付けた衣装。実は一度作ったことがあるのですが、気の遠くなるような手間がかかりました
さらにこの衣装やブラスバンドの楽器などを持って、ナーレンツンフトのみなさんは、地元のパレードはもちろん他地域のパレードにも出演します。「バラの月曜日」と呼ばれるファスナハトのハイライトを中心に、前後数日ずつずらして様々な街でパレードが催されるので、そこを巡業していくのです。宿泊費、交通費……とこれまた費用がかさみます。
パレードの道中には、ナーレンツンフトから沿道の観客にお菓子をまくという習慣があるのですが、何時間も続くパレードの間中まき続けるとなると、1個1個は安い駄菓子でもかなりの金額になります。軒並み物価が上がっている昨今では、これもコロナ前通り気前よく……とはいかないようです。
イメージ https://www.photo-ac.com/
大切な伝統行事ですから、ナーレンツンフトの活動にはもちろん公費が投入されていますが、ナーレンツンフトの会員の自助努力で支えてきた部分も大きいので、急激なインフレで出費がはね上がっている今、すべてをカバーするのは苦しい……という団体もあるとのこと。何より、ナーレンツンフトのような非営利団体の活動に関われるだけの余裕がある人が少なくなってきたのではないかという声も聞かれます。これはどこの非営利団体も、コロナ後に多かれ少なかれ悩まされている問題のようです。
そんな中で実際に迎えた久々のファスナハトはどうだったのか……というお話は、次回続けてお届けしたいと思います。
後半も値上げにまつわるお話が続きます。
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