中野吉之伴フッスバルラボ

【きちルポ】人権問題は大事。サッカーも大事。いろんな人に目や耳を開いてもらうためにぼくたちができること

▼ ワールドカップとの向き合い方

《ドーハの歓喜》と日本メディアに大々的に取り上げられたカタールW杯初戦となったドイツ戦の勝利。W杯4度の優勝を誇るサッカー大国相手に逆転勝利を挙げる大金星日本は大いに沸いていたようだ。

《ドイツに勝てたんだから、スペインに0-7大敗しているコスタリカには勝てる!》と目論んでいたものの、思い通りの試合展開ができず、逆に相手に自分達のミスを突かれて0-1で負けると、今度は戦犯探しでまたメディア大いに沸いているようだ。忙しい。

でもそれは日本だけのことではない。ドイツだってそうだ。おそらくどの国だってそうだろう。他国の不振や問題を面白おかしく書きたがる人は世界中どこにでもそれなりにいる。

だからといって、そうした非難や批判が建設的なものかどうかは分けて考える必要がある。批判そのものを避けたら、人は成長しない。ミスを正しく認知するところがスタートだからだ。そこをあいまいにしてお茶を濁してしまったら、何度も同じミスを繰り返してしまう。

そのあたりの線引きがドイツ国内でごちゃごちゃになってしまったところは否めない。ドイツでは大会前から守備の不安や人権問題へのメッセージの是非についてばかりが報じられ、日本戦に負けると前述したようにネガティブな報道やSNSでの反応が相当多かった。

加えて今回のカタール大会では視聴者数そのものが非常に少なく、通常のW杯だったらドイツ戦で視聴者数2-3000万人は当たり前のところ、日本戦は1000万人を切っており、それこそ視聴者数では日本のほうが多かったという。

試合だけではなく、関心度でもドイツは負けていたという背景があった。

開催時間の兼ね合いで日本ではゴールデンタイムだが、ドイツではお昼ということも考慮に入れるが、それにしても温度差にはかなりの開きがあったのは確かだ。

ではなぜ多くのドイツ人はカタールW杯を見ないのか。

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