中野吉之伴フッスバルラボ

【フッスバルコラム】サポーターのポジティブな後押しが堂安律を支える。ミスでもブーイングをしないフライブルクのサポーター力

▼ ホーム&アウェーの意味

スポーツの世界でサポーターの応援は重要な役割を担う。

プロサッカーのリーグ戦は基本的にどこもホーム&アウェイで行われ、それぞれのクラブは自前のグラウンドとスジアムを持ち、年間を通してそれぞれ1回ずつ自分達のホームスタジアムで戦う権利を持っている。

ドイツをはじめとするヨーロッパではアマチュアクラブでも同じような構図でリーグ戦が育成年代にいたるまで整理されており、小さなころからホームで戦う試合とアウェーで戦う試合の違いを感じながら成長していくものだ。

ドイツのブンデスリーガは世界最多の平均動員数を誇るリーグだ。今シーズンは現在15節終了でカタールワールドカップ開催のために中断に入っているが、現時点での平均動員数は実に42306人

トップはドルトムントで81032人と圧倒的。一番少ない平均動員数はウニオン・ベルリンの21819人となっているが、ウニオンのスタジアムは最大集客数が22012人なので集客率で見たら、なんと99.12%!

ずば抜けた数字だ。

そんなスタジアムに集うサポーターによってブンデスリーガの試合はどれも熱を帯びたものとなる。サポーターの声援がスタジアムに息吹を与えていく。サポーターの応援を受けて選手は確かな力を勝ち得ていくものだ。ブーイングで自分たちの怒りや憤りを伝えるのも重要なメッセージだったりする。

サポーターのアプローチは千差万別。クラブカラーとの兼ね合いも出てくるし、リーグにおける立ち位置も関わってくる。優勝歴が多いクラブほど誇り高く、確かな結果を要求する気質が強くなり、チャレンジャー精神で立ち向かうクラブほど、我慢強くチームとともに戦う危害を持っていたりする。あくまでも傾向の話。

今回はそんなチームとサポーターとの関係性の話をしたい。

フライブルクでプレーする日本代表FW堂安律がサポーターの後押しについて語ってくれたことがあった。あれはELグループリーグ5節でギリシャの強豪オリンピアコス・ピレウスとの試合後だ。

すでに決勝トーナメント進出は決めており、この試合で勝利すればグループ1位抜けを確定できるフライブルクに対して、オリンピアコスはすでに決勝トーナメント進出の可能性は潰えているものの、勝てば3位でコンファレンスリーグへ残ることができる大事な一戦。

立ち上がりから激しくアグレッシブなプレーを敢行してきたオリンピアコスは17分に先制ゴールを挙げると、その後は時間を稼ぎながら、リードを最後まで守り続けようとしてきた。フライブルクはそんなオリンピアコスの守備に苦しみながら、後半から終盤にかけてオフェンシブな交代選手をどんどんピッチに送り、何度もオリンピアコスのゴールへ迫っていく。そしてアディショナルタイムにCKからDFルーカス・キューブラーが値千金の同点ゴールを決めたのだ。

大喜びをする選手たち。湧き上がるスタジアム。興奮冷めやらぬ中、選手はゴール裏のサポーターの前で何度も祝い合っていた。63分に途中交代でベンチに下がっていた堂安も、仲間と抱き合い、サポーターの歌声を笑顔で聞きいっていた。

試合後、堂安がサポーターの存在についてを口にしていたのが印象深かった。

「こういうゲームに負けないっていうのは、次の試合に対するモチベーションに繋がる。よかったです。なんといってもサポーターがやっぱり素晴らしいので、ああいうサポーターの後押しは改めてすごいなと思いました」

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